住宅取得資金贈与と住宅ローンの併用の注意点。贈与の計画とタイミングに注意。

 予定通り10月から消費税が10%に増税となる場合、

2019年4月1日以降の住宅新築の契約分より、

両親やおじいちゃん、おばあちゃからの「住宅取得等資金贈与」の非課税枠が拡大します。

 

「住宅取得資金贈与」と銀行の「住宅ローン融資」を受けることにより、

「住宅ローン控除」の適用も受ける方も多いものと思われます。

 

「住宅取得資金贈与」を受ける場合、しばしば耳にする注意点は、

贈与のタイミングや完成引渡時期前に贈与を完了させる点です。

 

しかし、「住宅取得等資金贈与」と「住宅ローン」を併用する場合、

最も注意をしなくてはいけない点は、

銀行で住宅ローンを申し込む前に、

「いつ誰からいくら贈与を受けるのか?」

確実に決めておくことです。

 

僕が今まで経験した贈与の申告において、意外な事が何回かありました。

住宅ローンがおりた後に贈与を受けたや、

建物の引き渡しが済んだ後に贈与を受ける方もいた点です。

 

今回は、住宅ローンを受ける際の「住宅取得等資金贈与」のタイミングの注意点について説明します。

 

 

all paints by Ryusuke Endo

住宅ローンを受ける時はこんなやりとり

僕が銀行員をしていたのは2007年9月の12年前。

随分昔ですが、今でも住宅ローンを申し込む際に、銀行から必ず「資金計画」について聞かれます。

実際に融資を申し込む時には、こんなやり取りが行われると思います。

 

4月初めのある日。。。

 

住宅ローンを申し込みたいのですが。。。

金額はおいくらですか?

3000万円の建物です。

では資金のご予定と計画を教えてください。

貯金が200万あります。6月に父から800万円贈与を受けます。

2000万円の融資を考えています。

わかりました。では2000万円のご融資をお考えですね。

住宅の完成はいつ頃の予定ですか?

12月の終わりです。でも9月に1500万円の中間金の支払いがあります。

貯金と贈与を合わせても500万円足りません

わかりました。では9月中間決済で500万円。

12月引渡時に残金決済1500万円融資します。

わーい。ありがとうございます。

 

上記の例は便宜上、「分割融資」の形態を想定しています。

中間金を「つなぎ資金」で行う銀行も多くありますが、ここでは「分割融資」で考えます。

(つなぎ資金の場合でも、注意事項や考え方に変わりありません。)

住宅取得資金と住宅ローン併用の一般例

上記では、A君はローン申込時の資金計画に、しっかり住宅取得資金贈与があります。

銀行窓口で詳細に説明し、その資金計画にも変更がありませんでした。

このような資金計画が最も一般的で、まず間違いがない方法となります。

 

 

 

 

住宅購入価格と実際の決済金額が一致しており、

何ら問題がない住宅取得等資金贈与と住宅ローンでした。

 

上記の場合には、翌年の3月15日まで書類一式を揃えて確実に確定申告することで、

住宅取得等資金の贈与税の非課税適用が利用可能です。

ローン申し込み後に贈与を受ける場合の失敗事例

両親からの贈与の計画を考えず、住宅ローンを申し込んでしまう方、

また両親から複数回に渡って、住宅取得等資金贈与を受ける方もいました。

もちろん親御さんからすると、これから家庭を築く子供の為によかれと思ったことですが。。。

 

例えば、前述の一連のローン実行までの中で、当初の計画で考えていなかったものの、

優しいご両親は、更に住宅のお金を工面してくれる事があります。

 

しかし、ローン申込時の資金計画を変更して贈与を受ける場合、

ローンの減額を銀行に依頼しないと、ヤヤコシイ問題が生じます。

 

A君の話の少し下記のように変えてみます。

◇ A君の続きの話 ◇

・両親は住宅資金贈与の非課税枠に余裕がある事に気づきます。

・A君は優しい両親から、更に500万円の贈与を受ける事となりました。

 下記①の場合は8月に、下記②の場合は10月に贈与を受けました。

 →(案外そういった優しい親御さんはいらっしゃいます。)

・A君は余裕資金ができて大喜び。

・ローン申込は完了していましたが、銀行には伝えませんでした。

 →(普通は伝える事はしないと思います。)

① 中間金決済前に更に贈与を受ける場合

この場合、新たに受けた贈与500万のうち、200万円しか住宅取得等資金贈与の適用がありません。

残りの300万円は通常の贈与となり、非課税適用はありません。

 

 

当初中間金決済時1,500万円の支払資金の内訳は、

6月贈与800万円+9月融資500万円+自己資金200万円の予定でした。

 

しかし、自己資金の使用は取り止め、

代わりに8月の2回目の贈与500万円から200万円を充当しました。

 

これで9月の中間決済は完了します。

 

12月の残金決済1,500万円は予定通り住宅ローンが実行されて決済終了。

8月の贈与500万の内、使い残した300万円は通常の贈与となります。

② 中間金決済後に更に贈与を受ける場合

この場合、新たに受けた贈与500万全額について、住宅取得等資金贈与の適用がありません。

500万円全額が通常の贈与になります。

 

 

当初の予定通り、中間金決済時1,500万円の支払資金の内訳は、

6月贈与800万円+9月融資500万円+自己資金200万円でした。

これで9月の中間決済は完了します。

 

更に10月、両親から新たに500万円の贈与を受けました。

しかし、12月の残金決済1,500万円は予定通り住宅ローンが実行されて決済終了。

10月の贈与500万は全く住宅資金決済には利用されず、全額が通常の贈与となります。

まとめと失敗しないポイント

◇ 失敗しないために ◇

・住宅取得資金贈与と住宅ローンの併用はローン申込前に資金計画を固く練る

・当初の資金計画に変更があれば、必ず銀行へ報告!相談!

・自身の住宅取得等資金贈与の非課税枠を確認しておく

・(住宅購入価格 - 住宅ローンの金額)の範囲内での贈与を検討する

 (その金額の全額が非課税適用されるという意味ではありません。)

・中間金決済がある場合は贈与のタイミングを考える

・贈与を受けたらその全額を住宅の代金決済に使用する

 

住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用については、

贈与を受けた金額の全てが、住宅の代金決済に使用される必要があります。

 

住宅ローンを利用せず、自己資金と住宅取得資金贈与のみで代金決済をするのであれば、

代金決済の直前で贈与を受けることにより、明らかに住宅取得に使用したことがわかります。

そのタイミングを考慮し、住宅引渡前に確実に贈与すれば、失敗はありません。

 

しかし、住宅ローンを利用する場合、融資金は確実に住宅代金決済に充当されます。

住宅購入価格から融資を受ける金額を差し引いた範囲内で、親からの贈与を考えましょう。

中間金決済がある場合、そのタイミングの考慮も必要となります。

 

せっかく優しいご両親から住宅資金贈与を受けても、非課税適用がなければ意味がありません。

融資の申し込み時には、贈与をいついくら受ける予定なのか?

しっかりと計画を練りましょう。

 

また、資金計画に変更があった場合は、必ず金融機関へ報告し、

贈与税の非課税適用に差支えがある場合には、減額可能か相談をしましょう。