令和元年分7月分所得税の予定納税額の減額申請書の具体的な書き方

6月も半ばとなり、今年もまもなく半年が経過します。

個人事業主の方が、毎年半年経過した後に注意すべき点は、

源泉所得税納期の特例、労働保険料の申告、そして所得税の予定納税です。

 

自動振替の場合、予定納税については、ついつい忘れてしまいがちです。

しかし、廃業や業績悪化などの理由により、前年と比較して事業規模や成績が大きく

変化している場合があり、予定納税を納める原資に頭を悩ます事も。

 

特に不動産事業をされている方については、業況が大きく変わる事が多々あります。

 

そこで7月の所得税第1期所得税の予定納税に備え、所得税予定納税額の減額承認申請書に

ついて、具体的な金額の記載方法を説明します。

(※事業所得、不動産所得のみ想定しています。)

all painted by Ryusuke  Endo

所得税の予定納税を納める人

所得税の予定納税を納める義務がある人については、

毎年6月15日までに税務署より、予定納税のお知らせが郵送されます。

予定納税の基準となる金額の計算方法は細かな取り決めがあります。

 

個人事業や不動産事業だけをされている方については、下記の確定申告書における

㊺の申告納税額が15万円以上の場合、その1/3の金額をそれぞれ第1期分として7月1日から

7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに納める事が義務となっています。

 

上記の確定申告書では、㊺の915,300円を3で割り、305,100円を7月末、11月末に納めます。

(915,300÷3)=305,100円

 

 

しかし、廃業をしたり病気や事業悪化、事情により事業の縮小を図った場合、

前年と比べ、当年の納税額の減少が予想される事もあります。

 

予定納税により納め過ぎた所得税額は、翌年の確定申告により還付されます。

しかし、予定納税が多額となる場合には、事業者の資金繰りを圧迫しがちです。

 

そこで、6月30日の現況に基づく所得税の予定納税額を納付する為、

所得税の予定納税の減額承認申請の手続きが設けられています。

6月30日の現況により、年間の納税額を見積もり計算していく制度です。

減額承認申請が見込まれる人

予定納税の納付義務がある事業者のうち、6月30日の現況において、

次のような方は減額承認申請が認められる可能性があります。

・事業を廃業、休業、失業、事業規模の縮小などの変化があった場合

 → そもそも売上がなかったり、大きく減少している

・業況悪化などにより、本年分の所得が前年分の所得よりも明らかに少なくなると

 見込まれる場合

 → 6月30日時点で明らかに所得が減少している

・災害等により事業用資産損害を受けた場合

・その年の所得控除額や税額控除額が前年分と比較して増加する場合

 → 小規模共済に加入、扶養控除の増加などが見込まれる

上記の事項は全て6月30日の現況において見積もります。

減額承認申請の流れ

まず国税庁から、所得税の予定納税額の減額申請書を入手しておきます。

国税庁HP 令和元年分所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請書(PDFファイル/1,481KB))

 

下記の申請書を手に入れておきましょう。

 

 

入手したら次の流れにより、減額承認申請書を作成します。

計算方法を把握する為に、まず電卓をはじいてみる事をお薦めします。

1、6月30日時点の損益計算書と貸借対照表を用意し、事業所得を確認する。

2、通常の確定申告と同様に、6月30日時点の確定申告書を作成。

  → 扶養控除等の所得控除の増加が見込まれる場合には、見込み額で記載する。

3、6月30日時点の見積もりの申告納税額㊺が前年の確定申告書の㊺申告納税額に

  満たない時は、減額承認申請が認められる可能性があります。

4、所得税の減額承認申請書に上記3を転記します。

5、第1期分及び第2期分の減額申請は、7月1日から7月15日までに税務署へ申請します。

  第2期分のみの減額申請は、11月1日から11月15日までに税務署へ申請します。

減額承認申請書の書き方

実際に減額承認申請書を記載していきます。

まず上の半分の記載方法の説明について行います。

 

 

上記の「通知を受けた金額」には税務署から郵送された書類に記載されている金額をそのまま

転記します。

「申請金額」の欄はこれから計算していきます。

「申請の理由」などは上記のように、簡潔に書いておきましょう。

 

そして下半の計算欄分は下記のようになります。

 

 

①から⑩ 所得の見積額の記載

「①や②の事業や不動産所得」は、6/30時点の試算表の所得金額を転記します。

 (「収入」-「経費」の金額です。)

  ※見積額なので、試算表の金額の転記で構いません。

⑪から⑯ 社保や生保等の記載

・6月末までに多額の医療費支払があれば計算してもOKですが、手間がかかるので面倒であれば

 無視しましょう。

・所得控除もついても、6/30時点における令和元年分の控除額を見積もります。

国民健康保険、介護保険、国民年金保険料については、市から郵送された通知書により、

 ご自分が12月までに納付する金額を見積もります。

自動振替の方は通知書より、12月までに引き落としがされる金額を記載してもOKです。

年金から天引きされている方は、昨年と同じ金額を記載しても構いません。

後期高齢者保険については通知書が手元に届いていない場合、昨年と同じ金額の記載でも

 構いません。

生保等の控除については、特に解約をしていたり解約の見込みがなければ、昨年と同額でも

 構いません。

⑰から⑳ 扶養控除の記載

・基本的に昨年と同額で構いません。

・但し、就職等により新たに扶養から外れる人の把握にだけは注意します。

㉓から㉙の計算 

㉓以降は、機械的に計算をしていきます。

㉖は所得税率をかけて計算します。→ (国税庁HP所得税の税率)

㉚から㉝の計算

前年において、㉛や㉝の住宅ローン控除を受けている方については、昨年の確定申告同様に、

自宅に保管している住宅借入金控除の計算書により金額を算出します。

毎年同額ではないこともありますので、ここは慎重に確認しておきましょう。

㉞から㊴の計算

ここの欄は機械的に素直に計算をしていきます。

㊴の申告納税見積額は、100円未満を切り捨てます。

㊵と㊶の予定納税額

㊴の申告納税見積額を3で割ります。

ここでも100円未満を切り捨てます。

申請金額欄へ転記

上半分の申請金額の欄に、㊴、㊵、㊶の金額を転記します。

㊴は予定納税基準額又は申告納税見積額の欄。

㊵は予定納税額第1期分の欄。

㊶は予定納税額第2期分の欄。

税務署へGO

出来上った申請書をもって、税務署へ提出に行きます。

※申請には添付書類の名称欄に記載した、申告納税見積額の計算の事実を記載した書類が

 必要です。

 それ以外には、廃業している場合には廃業届の控え、所得控除については念のため、記載の参

 考にした各通知書を持参しましょう。

減額承認申請書の具体例

・6/30時点の不動産所得が400万円の方の場合の記載例です。

 

 

 

所得控除が無い場合は、②不動産所得から㉑基礎控除を引いた金額が㉓課税所得です。

㉓の課税所得に税率をかけて予定納税額を算出していきます。

具体的な計算過程は下記の通りです。

・⑧所得合計4,000,000 - ㉒所得控除合計380,000 = ㉓課税所得3,620,000

・㉓課税所得3,620,000 × 20% ー 427,500   = ㊲所得税額296,500

・㊲所得税額296,500  × 2.1%           = ㊳6,266

・㊴申告納税見積額302,700  ÷3           = ㊵と㊶100,900

㊴と㊵、㊶は上半分の申請金額欄に転記します。

注意事項!

・提出期限は、第1期分及び第2期分の減額申請については、7月1日から7月15日までです。

 早めに見積計算を済ませる事が必要です。

・11月減額承認申請の場合、上記6月30日における現況部分を10月31日の現況と読み替えます。

まとめ

所得税の減額承認申請は、法人に置き換えれば、本年実績による中間申告です。

見積もり計算で行えるため、それ程難しい部分は基本的にみられません。

前年の予定納税が多額で事業を圧迫する場合には、早めに検討される事をお薦めします。