孫がいる場合といない場合の相続時精算課税のデメリット。

先日、相続時精算課税がお得!というネットのニュースを目にしました。

相続時精算課税制度は、2500万円までは無税で贈与が可能な制度ですが、

その名前の通り、贈与を受けた財産を相続の時に精算する制度です。

 

僕が相続時精算課税を学習した際、最大のデメリットとされた点は、

贈与を受けた方が贈与した人よりも先に亡くなった場合、

2回の相続が発生する可能性があるという点です。

 

しかし、何となく2回贈与が発生するという事は、イメージがつかめません。

そこで今回、相続時精算課税の最大のデメリットである、2回発生する相続について

確認をしておきます。

 

all paints by Ryusuke Endo

相続時精算課税制度とは?

相続時精算課税制度とは、ザックリいうと下記のような相続税を前払いしておく制度です。

 

① 父は生きている時に、子供に現金3000万円を贈与します。

② 子供は贈与でもらった現金3000万円から非課税枠の2500万円を差引き後、

  500万円の20%である100万円の税金を支払います。

 (この時の支払いは相続税の前払いです。)

 

 

③ 父が亡くなると、父の相続が発生します。

  父から精算課税贈与で財産をもらった子供は、その財産が相続でもらった財産に変化

  し、必ず父の相続人となります。

  子供は最終的な相続税額から②の前払分を差し引いた税金を納める事となります。

 

 

◇ 注意 ◇

・贈与の金額が2500万円を超えた場合、一律20%で税金がかかります。

・それは贈与税ではなく、相続税の前払いです。

・精算課税により財産をもらった人は、財産をあげた人が死亡した場合、

 必ず相続人となり、相続税を納める可能性があります。

・納める相続税からは、贈与時に支払った相続税の前払分を差し引いて納めます。

・贈与をするおじいちゃん達の年齢は60歳以上です。

・財産を贈与でもらう子供や孫の年齢は20歳以上です。

・相続時精算課税制度は取り止めできません。

孫がいる場合の精算課税のリスク

相続時精算課税の最大のリスクは、財産を貰った人が先に亡くなった場合だと言われています。

下記のモデルで考えてみます。

◇ モデル ◇

・父、母、子とその妻、孫の5人家族

・父は固有の財産の中に現金2億円があり、子に精算課税贈与を検討している

 

相続時精算課税贈与をしない場合

不運にも、親より先に子が死亡します。

その後、父も死亡して父の相続が発生します。

父の現金2億円は、相続人である母と孫がそれぞれ現金1億円ずつ相続して終了です。

 

相続時精算課税贈与をした場合 孫がいる時

子は生存中、父から精算課税贈与により、現金2億円の贈与を受けます。

子は贈与により、相続税を3500万円前払いします。(【2億-2500万円】×20%)

 

その後、不運にも子が親より先に死亡した場合、子の相続人である妻と孫は子から現金2億円を

それぞれ1億円ずつ相続します。

 

これが第1回目の相続です。

 

 

 

更にその後、年老いた父が亡くなります。

子が父から贈与を受けた現金2億円は、子が父から相続によりもらった事になります。

相続人となった子には、最終的な相続税から前払分3500万円を差し引いた税額を支払う義務があります。

 

しかし、子は既に亡くなっています。

 

よって、父死亡時に、子の相続人である妻と孫が、子が生きていれば納めるべきだった相続税を

1/2ずつ納める必要があります。

 

これが第2回目の相続です。

 

孫がいない場合の精算課税のリスク

精算課税贈与をする場合には、贈与を受けた子に孫がいない場合も存在します。

下記のモデルで考えていきます。

◇ モデル ◇

・父、母、子(独身)

・父は固有の財産の中に現金2億円があり、子に精算課税贈与を検討している

相続時精算課税贈与をした場合 孫がいない時

子は生存中に父から精算課税贈与により、現金2億円の贈与を受けます。

子は贈与により、相続税を3500万円前払いします。(【2億-2500万円】×20%)

その後、子が親より先に死亡した場合、相続人である母と父が、子の財産である現金2億円を

それぞれ1億円ずつ相続します。

 

これが第1回目の相続です。

 

 

更にその後、年老いた父が亡くなった為、子が父から贈与を受けた現金2億円は、子が父から

相続によりもらった事になります。

相続人となった子には、最終的な相続税から前払分3500万円を差し引いた税額を支払う義務が

あります。

 

しかし、子は既に亡くなっています。

 

よって、父死亡時に、子の相続人である母は、子が生きていれば納めるべきだった相続税を全額

納める必要があります。

 

これが第2回目の相続です。

 

注意点

・相続時精算課税の行う場合には、財産を財産をもらった人が先に亡くなった場合には、大きな

 リスクが発生する可能がある事を知っておく事。

 

・相続時精算課税により財産をもらった人(子や孫)は、財産をあげた人(親など)が亡くなっ

 た場合に、必ず相続人になり、税金を納める必要があります。

 

・子や孫が親より先に亡くなった場合には、子の相続人が、子に代わって親の相続発生時に子が

 支払うべき相続税を納めることになります。

まとめ

相続税が発生する事が予め予測されている一家の場合、精算課税適用により大きなリスクがある

事の理解が必要です。

通常の110万円までの非課税贈与と比較して、何が異なるのか、税理士さんからしっかりと説明

を受けるようにしましょう。

根拠法令

相続税法第21条の17第1項、第3項 (相続時精算課税に係る相続税の納付義務の承継等)

相続税法施行令第5条の6(相続時精算課税の適用のための読替え)