二世帯住宅の敷地を相続した場合の小規模宅地の特例

滋賀県へ引っ越してから、二世帯住宅を目にする機会が増えました。

聞くところによると、滋賀県守山市、草津市、大津市辺りは、京都や大阪で働く方のベットタウ

ンだそう。

高層マンションを購入する方や、二世帯住宅の方も多いとのことです。

 

静岡に住んでいた時、それらを目にする事はそれほどなく、仕事においても、

親子2世帯住宅の敷地に供される宅地については、実務を行ったことがありません。

そしてすっかり忘れてしまっています。

 

そこで近年、多くの改正が行われている小規模宅地の特例において、

今回は改めて二世帯住宅における小規模宅地の特例について確認をしておきます。

 

all paints by Ryusuke Endo

完全分離型の二世帯住宅について

最近の二世帯住宅というと、親と子供夫婦は互いに生活を干渉しないよう、完全分離型の二世帯

住宅が一般的です。

その場合は、親と子で生計も別勘定の家庭が多いようです。

 

さて、例えば下記のような父と息子の二世帯住宅を例にあげます。

 

・父親が自分名義で所有する土地に二世帯住宅を建てました。

・1Fは父母の住まい。

・2Fは息子夫婦の住まい。

・二世帯住宅は区分登記なし、完全独立型で父親夫婦と息子夫婦は別生計。

 

 

 

そして不運にも父親が亡くなり相続が発生!

二世帯住宅が建っている土地は、仲良く母親と息子で相続をしました。

 

 

この場合、母と息子が相続により取得した建物の敷地について、小規模宅地等の適用の判定は、

どのように行えばいいのでしょうか?

 

息子が生活していた敷地部分は、実際には父が住んでいたわけではないけれど、小規模宅地の特例って適用が可能だったかな?

二世帯住宅の小規模宅地等の特例要件

二世帯住宅の敷地について、小規模宅地等の特例の適用を受ける為には、「特定居住用宅地等」

の要件を満たす必要があります。

「特定居住用宅地等」の一般的な要件は下記の通りです。

 

赤枠の部分が母親の要件、青枠の部分が息子の要件になります。

完全独立型の二世帯住宅の場合、別生計の息子が必要となる要件は青枠の部分です。

 

 

 

1F 部分は父と母の生活の場でした。

よって、母が相続した土地は、被相続人である父親が住んでいました。

配偶者である母親は、土地を相続さえすれば、申告期限までに売ってしまおうがどうしようが、

土地の評価額は、330㎡まで80%ディスカウント可能です。

 

一方で、2F部分は独立して生活していた息子の生活の場でした。

よって、息子が相続した土地は、父親の生活の場でもなければ、生計が一の親族の生活の場でも

ありません。

 

しかし、上記の例では、母親も息子も「特定居住用宅地等」の適用が可能であり、330㎡まで土

地の評価額は80%ディスカウントされます。

二世帯住宅の小規模宅地等の根拠法令

上記の二世帯住宅の例において、息子が小規模宅地等の特例の適用を受ける為には、次の2つの

要件が必要です。

 

・「被相続人である父親が住んでいた建物の敷地」を相続する事。

・「同居の親族」が相続し、申告期限まで住み続ける事。

二世帯住宅では息子の生活の場は父親の生活の場に含む

小規模宅地等の特例の適用を受ける場合には、そもそも相続した土地自体が、「被相続人である

父親が住んでいた(生活の場であった)建物の敷地」である必要があります。

 

しかし、区分登記がされていない二世帯住宅では、同一生計・別生計に関わらず「父と同じ1

棟の建物内に住んでいた息子の生活の場(2F部分)」は「父親が住んでいた建物の敷地」

含まれます。

 

よって、息子が相続した敷地については、「被相続人である父親が住んでいた建物の敷地」とい

う要件を満たします。

 

根拠法令:租税特別措置法通達第69条の4-7 第1項(2)

(被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の範囲)

二世帯住宅では息子は同居の親族となる

小規模宅地等の特例を受ける場合、敷地を相続する人は、配偶者や同居親族、同一生計親族が一

般的です。

上記の例の場合、息子は父親と同居や生計を一にしていません。

 

しかし、区分登記がされていない二世帯住宅では、「父と同じ1棟の建物内に住んでいる息子」

「父と同居の親族」に含まれます。

 

よって、申告期限までに継続して住んでいれば、「父と同居の親族が敷地を相続する」という要

件を満たします。

 

根拠法令:租税特別措置法第69条の4 第3項第2号イ

(小規模宅地の特例)

二世帯住宅の注意点

・上記の例は、区分登記がされていない二世帯住宅に限ります。

・区分登記とは、例えば1F部分は父親名義、2F部分が息子名義と登記事項に登記されて

 いる事をいいます。

・区分登記の場合には、息子が生活の場としていた部分は、父親が生活していた部分には

 含まれません。

・また、息子は父親と同居とはならず、また同一生計にも該当しません。

・二世帯住宅の場合には、区分登記ではなく、共有名義の方が無難な傾向にあります。

まとめ

今回は、二世帯住宅の敷地に対する小規模宅地等の適用について確認しました。

改正自体は平成25年とやや古くなります。

小規模宅地等の特例については、平成22年の適用の厳格化、平成25年の限度面積拡大、平成30年

の家なき子厳格化など、改正が相次いでいます。

一応は時代に反映した改正だとは思われますので、今後も復習をしていきたいと思います。