副業による民泊収入がある場合の必要経費とその計算方法

昨年の民泊新法施行以降、すっかり下火になってしまいましたが、

増加する外国人観光客を相手に、数年前までは副業として民泊を行う人が増えていました。

 

平成30年に施行された民泊新法では、年間180日を超えて営業を行う場合、旅館業法の許可取得

が必要に。

民泊は一気にハードルが上がり、以前ほど活発な報道を聞かなくなりました。

 

しかし、迫るオリンピックに備え、体験型の宿泊施設を展開する方も増加しているようです。

そこで改めて、民泊を行った場合の確定申告の方法について説明しておきます。

 

なお、以下の説明では、旅館業法の許可申請の必要がない、180日ルールが適用される住宅宿泊

事業法を前提としています。

all paints by Ryusuke Endo

民泊の部屋の貸し方

僕が海外旅行などでAirbnb等を利用する時、民泊の部屋の利用方法は概ね3つです。

なお、1部屋を複数人でシェアする貸し方もありますが、僕自身はその借り方を旅行で利用した

事がなく、現実的で無いためここでは説明していません。

1軒まるまる貸し切り

ゲストに対して、1軒屋を貸し出します。

ゲストは1軒の建物内部を全て自由に使用可能です。

 

部屋全体を貸し切り

ゲストに対して、部屋全体を貸し出します。

例えば2Fに4部屋ある場合、ゲストは2F全て利用可能であったり、2Fがワンフロアで貸し切り

の場合もあります。

通常、リビングやトイレ、バスなどの共用部分は、ホストとの約束に従って利用します。

 

一部屋だけを貸す

ゲストに対し、1軒屋の複数の部屋の内、1部屋だけを貸し出します。

他の部屋は他のゲストが利用している事もありますし、貸出がされていない事もあります。

また、ホストが住んでいる事もあります。

 

収入の計上について

民泊の収入は言うまでもなく、宿泊による売上です。

ゲストがチェックアウトした日に、売上として計上をします。

宿泊代の入金が12月31日をまたぐ場合でも、ゲストがチェックアウトした日をもって、売掛金と

して宿泊売上に計上します。

 

また、キャンセル料についても売上となります。

12月31日までにキャンセル料の入金がない場合、同様に売掛金として宿泊売上に計上します。

 

なお、売上からは運営会社への各種手数料が差し引かれますが、差し引かれる前の金額を売上と

するように注意しましょう。

消耗品費や備品について

今回は、自己所有の1棟の建物の内、2Fの部屋全体を貸し出すことにします。

1F部分はホストの生活の場でありますが、リビング等は使用可とします。

 

民泊の経費というと、主に消耗品関係、水道光熱費、税金、減価償却費です。

 

消耗品関係については、旅行へ行った際にホテルやホステル、INN、ゲストハウスに泊まった時

の事を思い浮かべていただくとイメージが付きやすいかと思います。

消耗品・備品関係

消耗品や備品関係については、通常は客室に備えられているものが殆どだと思われます。

食器やケトル、調理器具、洗濯機などは共用スペースに配置されることも多々ありますが、それ

らをホストの日常生活で使用している実態がなければ、宿泊売上に直接対応する経費とされることが考えられ

ます。

 

消耗品関係については、下記のようなものが考えられます。

 

 

もしかしたら按分が必要な消耗品・備品関係

民泊で使用する建物では、ホスト自身が生活の場としている事が多々あります。

下記の消耗品関係については、ホスト自身の生活の使用に充てられる事もあります。

 

それらの場合には、消耗品等の支出額のうち、ホストのプライベート部分は経費にする事が出来

ません。

ホストのプライベートが絡む支出については、明確(合理的に)に区分できない限り、経費にす

ることはできません。

 

何かしらの根拠に基づき、民泊利用部分とプライベート部分で按分する必要があります。

 

水道光熱費や通信費について

1棟の建物でホストとゲストの水道光熱費や通信費用が混在する場合、必ずプライベート部分と

民泊部分での按分計算が必要になります。

 

合理的に按分する事が求められるので、按分に用いた根拠や計算方法については、紙媒体でも電

子媒体でもいいので、常に即座に取り出せるように控えておきます。

 

なお、今回の計算において、民泊に利用している部分の床面積は、下記の届出書より居室部分の

面積とします。

※実際に確定申告する時には、図面や下記の居室の面積、住宅の規模の面積のいずれを用いるのか、

じっくり判断をしましょう。

 

年額で按分する方法

建物にかかった消費電力等を、1年間全て合計します。

そして民泊に使用している床面積と宿泊日数で按分します。

 

【前提】

① 年間の水道光熱費(ガス、電気、水道、通信) 200,000円

② 建物のうち民泊に供している床面積  90㎡(内法面積)

③ 建物の床面積 190㎡

④ 宿泊日数   100日

 

 

毎月按分する方法

1か月間の光熱費等の領収書より、民泊に使用していた宿泊日数と面積で按分します。

 

【前提】

① 1か月のガス代等 15,000円

② 建物のうち民泊に供している床面積  90㎡(内法面積)

③ 建物の床面積 190㎡

④ 宿泊日数    6日

⑤ ガス等の使用期間 29日 

 

 

 

 

 

固定資産税について

下記の固定資産税課税明細書より、民泊に使用している建物部分の固定資産税と都市計画税(以

下、該当部分の固定資産税)を確認します。

該当部分の固定資産税を、民泊で使用している面積で按分します。

 

 

 

 

なお、1年の途中で事業を始めた場合、固定資産税の計上には注意が必要です。

詳しくは下記を参考にしてください。

(→年の中途で事業等の開始や廃止をした時の固定資産税の計上の注意点)

減価償却費について

宿泊施設である建物の減価償却を計算します。

まず前提として、下記のように過程しておきます。

減価償却をするには、予め建物を購入した時の金額を探し出しましょう。

 

【前提】

① 建物の購入価格 20,000,000円

② 購入した日 平成21年5月1日

③ 建物の構造 木造

② 建物のうち民泊に供している床面積 90㎡(内法面積)

③ 建物の床面積 190㎡

④ 民泊で使用した月数 10か月

建物の平成31年1月1日の簿価の算出

減価償却費の計算には、未償却残高があるか否か確認します。

その為には、民泊業務開始前の平成31年1月1日における建物の期首簿価が必要です。

 

まず下記にて、建物の期首簿価を算定し、未償却残高がある事を確認します。

なお、業務で使っていない木造建物の償却率は下記の通り0.031です。

 

 

 

そして、民泊開始前の居住用建物の未償却残高は、下記の様に求めます。

 

 

 

期首簿価(未償却残高)がある事がわかれば、次は減価償却費を計算します。

減価償却費の計算

民泊業務で使用する、居住用の木造建物の耐用年数は、22年(償却率0.046)です。

 

 

注意事項

・副業として民泊を行う場合、その殆どが雑所得に該当する可能性があります。

・民泊は貸し出し方法が複数存在する為、上記はあくまでもその1例です。

・雑所得を計算する場合においても、売上や経費関係の帳簿付や証拠書類となる請求書、領収書

 が必要です。

・民泊に使用している部分とホストのプラーベート部分が混在する場合、根拠を示して明確に民

 泊部分とプライベート部分を区分する必要があります。

・証拠書類には、民泊に関わるものか、プライベート部分に関わるものか明確に記録をしておき

 ましょう。

・雑所得となる民泊から生じた赤字は、他の黒字の所得相殺ができません。

まとめ

今回は、民泊による収入がある場合の経費の計算を中心に確認を行いました。

実際の貸し付け形態はホストによって大きく異なります。

よって、光熱費等をどのように按分するのかは、ケースバイケースとなります。

 

下火傾向にあるとはいえ、外国人観光客にとって日本で暮らすように宿泊できることはとても魅力的です。

僕自身、海外で民泊を経験し、その良さを経験しています。

 

民泊を副業として行うことは非常に大変ですが、ぜひ適正な申告を心がけましょう。