令和元年度よくある年末調整の質問事項や注意点

毎年10月に入ると、各生命保険会社から続々と生命保険料控除の証明書が届きます。

国税庁では年末調整の各書式が既にアップされており、配偶者(特別)控除申告書の記載も自動計算が可能です。

 

今回は、今まで会社員の時代に年末調整事務をした中で、お客様から受けた年末調整の質問について説明をします。

 

基本的な事項ですが、年1回のイベントである為、誤りが起きても気づかない事も多くあり、注意をする必要があります。

 

なお、令和2年10月より年末調整の電子化が実施可能となります。

しかし、各控除関係の適用可能の有無は人間の判断が必要です。

 

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当月(12月)締め翌月(1月)払いとなる給与は何年分の給与?

給与の支給方法は、会社の給与規定により様々です。

20日締めの月末払いであったり、25日締めの月末払いであったり。

また金融機関のように、月末締めの当月20日払い(前払い)で残業代のみ翌月払いであったり。

 

よく問題となる事は、「締め日の月と支給月が異なる給与」でした。

 

例えば、給与の締日は毎月末日、支給日が翌月10日という場合、

「令和元年12月末締め翌年令和2年1月10日支給の給与も年末調整を行うのか?」という質問がしばしばありました。

 

この場合、令和2年1月10日に支給される令和元年12月分末締めの給与は、翌年令和2分年の給与となり、令和元年の年末調整からは除外されます。

 

給与収入は一般的に、給与規定に定められている「支給日」において収入を認識します。

 

よって、支払いの滞りがなければ、1月から12月までに実際に支給された給与について、年末調整を行うことになります。

令和2年1月に支給される給与は、令和2年の給与収入であり、年末調整の対象になりません。

配偶者や子が亡くなった場合の配偶者(特別)控除や扶養控除

年末の中途において、不運にも配偶者や子、同居の両親が亡くなられる方がいます。

亡くなられた方についても、その年の年末調整で配偶者控除や扶養控除を適用可能です。

 

配偶者を含む扶養親族が死亡した場合、その死亡の時に被扶養者の所得を見積もり、扶養控除等が適用可能か否か判断します。

 

亡くなられた扶養親族の方の所得超過がなければ、死亡した年の年末調整において、扶養控除等の適用が可能です。

配偶者(特別控除)の配偶者の所得の見積額は国税庁で自動計算

平成30年より配偶者特別控除が拡充されました。

配偶者の所得が123万以下であれば、配偶者控除または配偶者特別控除のいずれかの適用が可能ですが、配偶者の所得の見積額が必要です。

 

配偶者(特別)控除適用の為に、しばしば「配偶者の方の源泉徴収票が必要か?」

といった問い合わせがありますが、源泉徴収票は不要であり、配偶者自身の所得を見積もるだでOKです。

 

1月から11月までの給与明細を参考にして12月分の給与を推定し、年間の給与収入(税金や社保が天引きされる前の金額)を集計しましょう。

 

年間の給与合計を把握したら、下記の国税庁のページ給与所得者の配偶者控除等申告書に、

・給与所得者の生年月日

・給与所得者の給与収入(大体の見積)

・配偶者の給与収入

の3点を入力し、配偶者(特別)控除の金額を自動計算させます。

(他に所得があれば他の収入も入力します。)

 

 

給与収入のみの場合には、上記3点の入力だけで済みますので、積極的に活用しましょう。

→ 国税庁 平成30年分 給与所得者の配偶者控除等申告書(入力用ファイル)

地震保険料控除の適用条件

持ち家や賃貸マンション、アパートに限らず、多くの方が家屋や家財を対象とした地震保険に加入します。

年末調整において、地震保険料控除として所得控除の対象になります。

 

注意すべき点は、「家屋に対する地震保険料控除の条件」です。

 

年末調整のあらましでは、家屋に対する地震保険として下記のように説明されています。

・本人が支払ったもの

・本人と同一生計の親族が所有する家屋

・常時居住している家屋(日常生活を送っている家)

 

よって、配偶者や両親が支払った地震保険料や、別荘や倉庫、賃貸部兼など、日常生活で使用していない家屋に対する保険については、地震保険料控除は適用できません。

同一生計親族の社会保険料を支払った時

現役で働いている方の中には、同居の父親や母親(配偶者の親を含む)の介護保険料、後期高齢者保険料(社会保険料)を負担する方がいます。

 

当然ですが、その場合には、納付書による現金払いや自身の口座振替により支払います。

 

父親や母親のように、同一生計親族の社会保険料を支払った場合には、自身の年末調整において、社会保険料控除の適用が可能です。

 

控除証明書などは必要ありませんが、納付書により現金払いをした場合には、必ず領収書を保管しておきましょう。

年金から特別徴収された社会保険料控除

老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給者の方は、介護保険料や後期高齢者保険料が年金から天引きされます。

 

年金受給者の方の年末調整を行う場合、年金から天引きされた社会保険料についても、社会保険料控除の適用を行うことが可能です。

 

証明書など必要なく、本人の申告のみで社会保険料控除が可能です。

年末調整する、しない、は選択できません

年末調整の事務の依頼をする時、しばしば

「自分で確定申告するから年末調整しない。」

といった返答をよく受けました。

 

しかし、給与収入がある方の場合、正社員、パート、アルバイトに関わらず、1か所勤務の給与所得者であれば、通常「給与所得者の扶養控除申告書」の提出が義務付けられています。

また、年末までに在職していれば、年末調整を行う事が義務とされています。

 

本人の選択により、年末調整するしないと選択はできません。

 

多くの場合、年末調整を行わない人は、

・年の中途で退職をした人

・2か所給与があり「給与所得者の扶養控除申告書」の提出をしていない人

に限られます。

連帯債務がある時の住宅ローン控除

住宅ローン控除2年目からは、年末調整においてローン控除の適用が可能です。

わざわざ確定申告をする手間が省ける為、年末調整のみで完結は非常に便利です。

 

しかし、住宅ローン控除2年目は、最も間違いが多い部分です。

2年目の記載方法を誤ると、その後10年目まで誤りに気付かない事も。

 

しばしば目にした事項は、「連帯債務がある場合のローン控除申告書」の記載方法です。

 

比較的若く共働きの夫婦の方が住宅ローン控除を組む場合、夫と妻それぞれ50%の連帯債務契約でローンを組むことがあります。

 

よく目にする誤りは、住宅ローン控除の対象となる借入金残高を、残高証明書に記載された全額としてしまう事です。

 

連帯債務契約の場合、住宅ローン控除の対象となる借入金残高は、借入金残高に連帯債務割合を掛けた金額です。

 

夫は夫の年末調整で、妻は妻の年末調整でローン控除を受ける事となります。

 

 

 

連帯債務割合は、初年度の確定申告書に記載されているはずです。

金融機関の住宅ローン契約書と合わせて確認が必要です。

 

まとめ

今回は、年末調整における注意事項について説明しました。

住宅ローン控除については誤りが多く、特にローンの借り換えをした場合、住宅取得資金等贈与を受けた場合の記載誤りが多いようです。

 

ローン控除2年目はその後10年目までの見本となることが多い為、申告書への正確な記載が求められます。

 

令和2年10月より、年末調整の電子化がスタートし便利になる予定ですが、1つ1つ重要な判断は必ず各個人が行います。

そのため、基本的な事項や大きな改正については、それぞれが把握する事が必要です。