令和3年分より所得税確定申告で配当・株式譲渡の市民税申告不要制度の選択が可能に。
毎年、配当所得や株式譲渡の申告をする方にとって重要な手続きの1つに、市民税の申告不要制度の選択があります。
これまで同制度を利用する場合、市役所に市民税申告不要の届け出を提出する必要がありました。
配当等を所得税で確定申告(総合課税又は申告分離課税)する一方、国保等や医療費負担増を避けるため、市民税では申告不要制度を採用するためです。
非常に重要な手続きですが、提出先が異なるり、ひと手間かかる制度でした。
しかし、令和3年分より、所得税の確定申告書第2表で、市民税申告不要の届け出をする事が可能になりました。
今回は、配当等を市民税で申告不要制度を採用する為の、令和3年分の手続きについてざっくり説明します。
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従前の配当・株式譲渡の市民税申告不要制度
配当所得や株式譲渡所得を申告する方にとって、市民税申告不要制度は非常に重要な手続きです。
配当所得等を所得税で確定申告し、配当控除や税率の差による源泉還付、外国税額控除の適用により、所得税の軽減が可能です。
しかし、配当等の申告により、国保等保険料や医療費負担が増加しるケースがあります。
結果的に、所得税の軽減以上に負担増になることもありました。
そこで現在は所得税で配当等を確定申告し、市民税は申告不要制度を採用する事で、国保等の増加を回避できます。
令和2年分までは、所得税の確定申告とは別に、市役所へ申告不要の届け出を行う必要がありました。
市町村により異なりますが、届け書とともに、所得税の確定申告書、特定口座取引報告書、配当金通知書等、外国税額控除の明細書を添付する必要があり、ひと手間かかる程度でした。
しかし、令和3年分より、所得税の確定申告書に記載することで、市民税申告不要制度を採用することが可能です。
令和3年分の所得税確定申告 第2表
現在、令和3年分の所得税確定申告(案)が公表されています。
確定申告第2表の書式が変更され、(住民税)の区分に、特定配当等・特定株式等の譲渡所得の全部の申告不要の区分が設けられています。
【令和2年分までの第2表】
【令和3年分までの第2表】
チェックをすることで、所得税では申告する(総合課税または申告分離課税)、市民税では申告不要とすることが可能です。
毎年、配当所得の申告により、配当控除や外国税額控除、源泉所得税の還付を受けている方は、非常に重要な制度であり、留意しておく必要があります。
令和3年分の確定申告時にはチェック漏れがないよう、必ず細心の注意を払う必要があります。
根拠法令
地方税法第32条第13項、15項(所得割の課税標準)
地方税法第313条第13項、15項(所得割の課税標準)
地方税法第第314条の9(配当割額又は株式等譲渡所得割額の控除)
まとめ
今回は、令和3年分より所得税の確定申告で配当・株式譲渡の市民税申告不要制度の選択が可能になる件について、ざっくり説明しました。
改正により以前から既に知られていた制度ですが、チェック漏れがあると採用できない為、単純なチェック漏れは十分に注意する必要があります。
また、配当の申告時には、申告不要、総合課税、申告分離課税のいずれ有利になるのか、毎年の申告時期には必ず自身で試算する事を心がけておきましょう。