令和6年分から上場株式等の配当・株式譲渡所得等は所得税と市民税で同一の課税方式が義務化
令和3年分の確定申告より、第2表において、上場株式等の配当所得や株式譲渡益について、所得税と市民税で異なる課税方式が選択可能になりました。
市役所へ異なる課税方式届けの提出が必要なく、確定申告のみで完結する為、利便性が高まりました。
※一般口座株式の譲渡等、非上場株式の配当ある場合、今まで通り届出書の提出が必要です。
しかし、令和4年の税制改正により、この制度は廃止されます。
具体的には、令和6年分の所得税より、上場株式等の配当所得や株式譲渡益は、所得税と市民税で同一の課税方式が義務付けられます。
いわゆる、いいとこ取りをすることができなくなります。
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所得税と市民税において異なる課税方式の採用可能
現在、上場株式等の配当所得と株式譲渡所得(以下、特定上場株式等)について、所得税と市民税で異なる課税方式の選択が可能です。
例えば、配当所得を申告する場合、所得税では総合課税、市民税では申告不要制度を採用する方が多いと思われます。
配当所得を申告することで、所得税で配当控除の適用、源泉徴収税率と所得税率差の利用による所得税の還付が可能です。(必ず試算をしましょう。)
一方、配当所得の申告は、市民税の課税所得を増加させます。
市民税の課税所得の増加と連動し、国民健康保険料や市民税を増加します。
更に高齢者の場合、医療費負担割合が3割になることもあります。
特定上場株式等の配当所得や株式譲渡益は、申告不要制度、総合課税、申告分離のいずれの課税方式も採用可能です。
そして、所得税と市民税で異なる課税方式を採用が認められています。
よって、配当所得を申告する場合、所得税では総合課税を適用して還付を受ける。
一方、市民税では、申告不要制度を採用し、国保や市民税、医療費負担割合増加の回避が可能です。
所得税と市民税において、どのような課税方式を選択するのかは、納税者自身の自由です。
いわゆる、いいとこ取りをすることが可能でしたが、課税の不公平感の解消の観点から、この制度が廃止されます。
令和6年度以降は、上場株式等の配当・株式譲渡所得等は、所得税と市民税で同一の課税方式が義務化されます。
令和6年分より所得税と市民税の課税方式は完全一致へ
令和4年の税制改正により、所得税では総合課税、市民税では申告不要制度といった、異なる課税方式の適用が廃止されます。
所得税と市民税において、必ず同一の課税方式の適用が義務付けられます。
課税方式の組み合わせは、3パターンのみとなります。
配当所得を総合課税で申告をする場合、必ず国民健康保険と市民税の額が増加します。
また、株式譲渡益を申告する場合、株式譲渡収入がその年の年収に含まれ、医療費負担割合が増加することがあります。
特定口座を含む配当所得や株式譲渡益、株式譲渡損失を申告する場合、今後は国保や市民税、医療費負担をトータル的に考えることが肝要です。
根拠法令
令和4年税制改正より
まとめ
今回は、令和4年の税制改正である、特定上場株式等の配当・株式譲渡所得等は所得税と市民税で同一の課税方式が義務化について、ざっくり説明しました。
何事もなければ法案は通過し、令和6年分より義務化が適用されます。
株式投資をされている方は、自身で国保、市民税、医療費負担の仕組み・試算方法を捉えておく必要があります。