LGBTパートナーの相続、贈与、譲渡の問題点。LGBTの事実が発覚しない財産の移転方法はない。

ゲイやレズであることは絶対にバレたくない、でもパートナーに財産を遺したい!

 

LGBT当事者から、しばしば、そのような相談を受けます。

 

残念ながら天涯孤独でもない限り、LGBTだと100%発覚しない財産の移転方法はありません。

 

生前中に例え発覚しなかったとしても、自身の死後、発覚することが殆どです。

 

そしてその時に困る人は、大切なパートナーです。

 

生前 or 死後にかかわらず、財産の移転には、LGBTであることが発覚する可能性があります。

 

今回は、財産の移転により、LGBTだと発覚する場合について、ザックリ説明します。

(※ここでは亡くなったゲイ当事者をA、そのパートナーをBとしています。)

 

 

 

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遺言(相続)でLGBTであることが発覚

LGBTパートナーに財産を遺す最も安全な方法は、公正遺言書の作成です。

 

親族や相続人に発覚したくない場合、「全ての財産をパートナーの遺す」という包括遺贈の方法が一般的です。

 

A死亡後、通常はAの相続人(両親や兄弟、甥、姪)が葬儀・遺品整理等を考えるはずです。

 

そこでは必ずAの財産の話が登場するでしょう。

 

しかし、AとBは包括遺贈遺言を締結しており、親族間で勝手に遺産分割できません。

 

Aがカミングアウトをしていなければ、親族は突然現れたBに驚きます。

 

また、Aの親族に遺留分権者がいる場合、遺留分侵害額請求を考えることもあり得るでしょう。

 

結果として、遺言を作成したことで、AとBがLGBTカップルであることが発覚します。

 

遺言書がなければ、本来、Aの遺産はAの親族が相続します。

 

Aが亡くなった後、突然現れたBとAの親族の争いが起こることも考えられます。

 

なお、一部を親族に、一部をパートナーに遺すという遺言書を作成した場合、100%遺産分割協議で発覚します。

 

生前贈与でLGBTであることが発覚

LGBTパートナーに財産を移転する方法として、生前贈与も1つの方法です。

 

現金預金や土地建物の名義変更など、生きているうちに財産を移転する方もいます。

 

10年かけて年間110万円金銭贈与をすれば、それなりの額になります。

 

またマンションを50%贈与するなど、パートナーの生活を考慮し、贈与を考える方もいます。

 

遺言書を作成しなくても、生前、必要な財産は贈与したから良いと考える方も一定数います。

 

しかし、Aが亡くなった後、やはりAの相続人はAの財産を調べるはずです。

 

過去の預金通帳を確認し、毎年金銭の移動があれば、必ず目につきます。

 

また、Aの親族はAが暮らした住居は、当然Aの所有と考えるかもしれません。

 

Aが親族にカミングアウトをしていなければ、親族は突然現れたBに不信感を抱くでしょう。

 

そして、Aの親族が財産調査を行い、登記簿に「贈与」と記されていた場合、その時にAとBの関係性が発覚します。

 

Bに対する現金預金や建物の贈与がなければ、それらAの遺産は、本来、Aの親族が相続します。

 

Aが亡くなった後、BとAの親族の争いが起こることも考えられます。

 

譲渡でLGBTであることが発覚

財産の移転方法には、贈与の他に譲渡があります。

 

土地建物(マンション等の住居)をパートナーに金銭で買い取ってもらうシンプルな方法です。

 

贈与ではなく、正当な価格によるAとB間の売買です。

 

Aが亡くなった後、Bに対する贈与がなければ、本来はAの親族が相続するものだ。

 

という、法律上のBとAの親族の争いを防ぐことが可能です。

 

しかし、Aが亡くなった後、やはりAの相続人はAの財産を調べるはずです。

 

Aがカミングアウトをしていなければ、Aの親族はAが暮らした住居は、当然Aの所有と考えます。

 

しかし、Aの親族が財産調査を行い、登記簿に「譲渡」と記されていた場合、その時にAとBの関係性が発覚します。

 

AとBが共に生活をしていれば、なおさらのことでしょう。

 

LGBTが発覚しない財産の移転方法はない

上記は相続、贈与、譲渡による資産の移転です。

 

いずれの方法も、Aの死後、LGBTであることが発覚します。

 

または、発覚する可能性が高いと考えられます。

 

発覚した場合、困る人間は大切なパートナーです。

 

親族の人間が、「本来は自分たちが相続できた財産」と考えてしまうと、Bとの争いに発展してしまうことも考えられます。

 

故に、大切な人に財産を遺すのなら、必ず親族にカミングアウトをしておく必要があります。

 

パートナーの存在を告げ、パートナーに遺産を遺す意思があることを親族に伝えておきます。

 

親族(特に両親や兄弟)が、何も知らなった場合、突然出現したBに対して、良い思いを抱くはずがありません。

 

LGBTの発覚を望まない方にとって、カミングアウトのハードルは高いと感じます。

 

しかし、最終的に困る可能性がある人間は、大切なパートナーです。

 

自分の死後、パートナーの事を考えるのなら、思い切ってカミングアウトする勇気も必要です。

 

まとめ

今回は、LGBTの事実が発覚しない財産の移転方法はないことについて、ザックリ説明しました。

 

生きている内は発覚しなくても、死亡後に発覚します。

 

そして、最も困る人間はパートナーです。

 

パートナーを面倒な諸問題に巻き込みたくないのなら、カミングアウトあるのみです。

 

パートナーの事を最も優先的に考えることが大切です。