フリーランスのブログ運営費を必要経費にする時の判断基準

個人事業主にとって、webサイトの活用は今や常識的な時代。

 

広告宣伝効果を狙い、HPやブログ運営を行う方は多くいらっしゃいます。

 

僕自身も今のところ、独自ドメインを2つ保有しています。

 

1つ目は、当税理士事務所のサイト 

遠藤隆介税理士事務所 → https://ryuchan-tax.com/

 

そして2つ目は、一応は広告宣伝の為の個人ブログのサイト  

元サラリーマン税理士の独立開業ブログ → https://ryusuke-tax.com/

 

税理士事務所のサイトは、2019.04に開業してからアップ。

 

個人ブログのサイトは、独立前の宣伝も兼ね2018.03にアップ以来、毎日更新しています。

 

前者の投稿内容は、全て税務関係一色。

 

また後者においては、税務関係の投稿が時々あるものの、その殆どは自分という人間を知ってもらう事が目的です。

(最近ますます趣味的嗜好が強くなっています。)

 

この2つのブログ運営。

 

どちらも税理士業務の宣伝を兼ねていますし、個人ブログの方も税理士業務のリンクやボタン、RSSを付しています。

 

しかし、それなりに費用が発生しています。

 

この2つのブログ(サイト)運営費用は、税理士業務の経費でしょうか?

 

それとも、50%などで按分して経費とすべきでしょうか?

 

今回は、僕自身を事例にして考えましょう。

 

(※事務所HPの税務記事は内容が税務というだけであり、純然たるブログです。)

 

 

 

painted by Ryusuke Endo

個人ブログ運営にかかる費用

個人ブログでワードプレス等を利用する場合、必ず費用が発生します。

 

年額換算すると、それなりの金額に。

 

僕はサーバーをさくらインターネット、web作成をワードプレスを使用しています。

 

僕のブログ運営に係る費用は、主に次のようなものです。

 

◇ ブログ運営で支払っているもの ◇

・レンタルサーバー代金

・ドメイン取得費用、更新料

・ワードプレス有料テーマ、プラグイン

・記事作成の為の取材費、旅費、物品購入代、書籍代、飲食代

・レビューの為に商品購入代、飲食代、旅費費用

・PC、プリンター等の周辺機器購入代金

・バックアップ用のクラウドストレージ料金

・web関連のセミナーや講習会参加費

・その他web関連の参考書

 

年間合計すると、日本 ⇔ 台湾をLCCで往復できる程度の金額を超えてきます。

 

上記運営費用について、税理士業務の経費か否か考えてきます。

 

ブログ運営費を経費とする時の考え方

ブログ運営費用を経費とみなすポイントは2つだけです。

 

全ての経費に該当する基本的な考え方は、自分自身で自信をもって、

 

1、業務(売上をあげる為)に直接関連しているかどうか?

 

2、業務に関連し、プライベート部分と明確に分ける事か可能か?

 

と断言できるかどうかです。

 

「完全に仕事の記事しか書いていない!」と自信がある場合は、1で判定してもよいでしょう。

 

「ちょっと個人的な要素もあるかな?」という場合には、必ず2で判定します。

 

上記の事を踏まえ、僕の2つのサイトについての経費性を判定します。

 

なお、経費性の判定は、サイト運営者本人のみ判断可能です。

 

最終的には運営者本人が、その経費性の判断を行いましょう。

 

事務所HP運営費用の経費性について

僕の事務所HPとそのブログ記事の特徴は次の通り。

 

・HPのメニューは全て税理士業務関連

・ブログの記事は全て税務関係であり、個人的要素は一切なし

・個人的要素は、個人ブログ(もう1つのサイト)へのリンクとRSSのみ

・HPから問い合わせがある

・ブログ作成の為、税務書籍を購入している

 

僕は事務所用のブログ運営費用については、その全額を経費とします。

 

その主な理由は下記の2点です。

 

・投稿内容やHP上にプライベート要素が全くない事

・仕事用サイト(事務所HP)と個人用サイト(個人ブログ)を分けている

 

税務関係ブログの投稿をしているものの、サイト自体は法人同様の企業サイトと同様です。

 

投稿内容に個人的な要素は一切なく、プライベート部分は一切ありません。

 

HPからは相談業務の問い合わせがあり、確かに業務(売上の為)に直接関連しています。

 

税務ブログの内容は宣伝効果を期待し、その為に必要な税務関連書籍も購入してます。

 

個人的要素が全く介入していない為、「業務(売上をあげる為)に直接関連しているかどうか?」という点で判断すると、ブログ運営費用の全額が事業の経費となると思われます。

 

個人ブログの経費性について

一方、個人ブログとその記事の内容は下記の通りです。

 

記事は個人的な趣味や嗜好(台湾関係)による部分が多い

・税務関連の記事や専門的な記事(確定申告関係)もある

・ブログからの相談の問い合わせもある

・画像はプライベート旅行を利用している

・税務関連記事は時々書く程度である(ここ最近は月1回程度)

・仕事の宣伝効果を兼ねている

・ブログの雰囲気が個人的思考が強い

・どんな人間か知ってもらうために書いている

 

僕は個人ブログの運営費用については、その全額を経費としません。

 

その主な理由は、下記の4点です。

 

・投稿内容の殆どが趣味嗜好が強い事

・投稿内容は税理士業務と関係ない事が多い

・税務関係記事の投稿がそれほどない事

・自分を知ってもらう投稿は業務に関係ない

 

僕の個人ブログのドメインは、1つのサイト内で、「個人ブログ」と「業務関係部分」が同一となっています。

 

事業とプライベートが混在している為、「業務に関連し、プライベート部分と明確に分ける事か可能か?」という点で判断します。

 

確かに個人ブログは、自分の人間性の紹介と、業務の宣伝効果を兼ねています。

 

現に確定申告関連等の記事も書いており、問い合わせをいただいた事も。

 

しかし、投稿記事の内容は個人的な考え、趣味嗜好の部分が大半を占めます。

 

宣伝効果を兼ねてプライベート要素を取り入れています、個人の趣味嗜好は業務に必要不可欠とは言えません。

 

趣味嗜好を取り入れなくても、業務を行う事は可能です。

 

2019.09時点は税務記事の投稿は殆どなく、趣味の台湾関係や個人的な考え方等が殆ど。

 

よって、僕の個人ブログはその殆どがプライベート要素が強く、業務に関連しているとは言えないと判断しています。

 

業務に関連していれば、事業割合(例えば50%など)により、経費とする考え方があります。

 

しかし、業務に関連していないと判断するのであれば、ブログ運営費の全額が必要経費になりません。

 

ブログ運営費用を経費にできる場合

僕は事務所HPと個人ブログを分けている為、結果的に個人ブログの方は経費としません。

 

しかし、仕事用のサイトとして、個人ブログを利用される方も多くいらっしゃいます。

 

フリーランスの方では、しばしば下記のようなブログ運営をされる方がおります。

 

そしてそれらの殆どは、事業の経費となると思われます。

 

◇ フリーランスの個人ブログで経費となると思われるもの ◇

・飲食業運営者が行う、自店のメニューや食材の紹介をしたり、出張先での食材を紹介する投稿。

・デザイナーが行う、自作品の紹介や販売宣伝の為の投稿。

・料理教室経営者が行う、調理法やレシピ、料理、栄養学その他食関連の投稿。

・旅行ライターが行う、各旅行関係の記事の投稿。

・カメラマンが行う、被写体や作品の投稿。

・士業が行う、法令の考え方や適用関係、注意点の投稿。

・フリーライターが行う、取材先の投稿

・花屋が行う、おすすめの花や観葉植物の育て方の投稿

・美容師が行う、最新のヘアスタイルの投稿

・メイクアップアーティストが行う、メイクの投稿

・医師が行う、健康関連や病気防止関連の投稿

・インストラクターが行う、健康法関連の投稿  などなど

 

ブログ運営費を事業の経費とすべきポイントは2点です。

 

投稿内容の殆どが事業と関連性があること

記事の投稿内容が集客を図る目的であること

 

 

上記に共通している事は、その投稿内容が自身の業務に関連する内容である事です。

 

投稿記事の殆どが、「自身の業務に関係する内容」であれば、ブログ運営費は業務に関連していると言え、事業の経費と考えられます。

 

ブログに事業主の嗜好がある場合は按分が必要

しかし、投稿記事に業務外の内容が含まれている場合(プライベート要素)、注意が必要です。

 

投稿内容の多くが自身の業務に関連しているものの、自身が感じた思いや日常を投稿する方も少なくありません。

 

その場合には、必ず事業とプライベートで按分計算を行います。

 

webの投稿記事だけでは事業主のプライベートが見えずらい場合、事業主の紹介を兼ねて、敢えてプライベート部分を投稿する人も少なくありません。

 

投稿内容が事業に関連する部分とプライベート要素部分との半々の場合、業務部分とプライベート部分とに明確に分ける事が必要です。

 

「明確に〇〇%が業務部分だ!」判断できない時は、ブログ運営費の半分だけを、事業の経費とする事がいいのかもしれません。

 

ブログ運営費を経費にできない場合

自身の業務関連の投稿をしているものの、プライベートな投稿が多い場合は、その経費性が疑われます。

 

個人の趣味嗜好が強い場合、例え50%で按分しても、認められない事も。

 

その良い例は、僕の個人ブログです。

 

その要因としてあげられる点は2つ。

 

・業務に関連しない記事(個人的な趣味や嗜好、思考)が大多数

・税金関係の記事は時々、ちょっとだけアップしている

 

 

僕は毎日投稿していますが、税金関係の投稿は、せいぜい多くて1か月に1度程度です。

 

確かにHP上では税理士事務所のリンクや、商品メニューを備えています。

 

しかし、1か月の内、30/31が税金関係以外(台湾旅行など)の場合、到底事業に関連しているとは言えません。

 

そして、個人の趣味嗜好が強い為、事業の必要経費とするには難しくと思われます。

 

ブログ運営費を経費にする場合のまとめ

プログ運営費を経費とする場合、下記の点について十分勘案し、経費性を判断しましょう。

 

・投稿内容は業務に関連しているか → 経費になる部分があるかもしれない

・投稿内容に100%業務に関連するものだけ → 事業経費

・投稿内容に個人的要素も含まれる → 按分して事業経費(例えば50%)

・投稿内容の殆どが個人的要素 → 全て事業経費にできない

まとめ

フリーランスの方で、個人ブログを運営されている方は大勢います。

 

自身の宣伝広告を兼ねての事ですが、事業に関連がない投稿が多くを占める場合、やはり事業には関係がないのでは?

 

といった疑念が生じやすくなります。

 

その場合には、家事関連費とするのが無難だと考えられます。

 

また、事業主自身の紹介の為、プライべート関係を投稿する事も自然な事です。

 

投稿内容にプライベート部分が含まれる場合、事業部分とプライベートとの按分に注意しましょう。