準確定申告で固定資産税を計上する場合の注意点

年の途中で個人事業を営む方が亡くなられた場合、準確定申告を行う必要があります。

1月から6月までに亡くなられた方の場合、よく目にする誤りとして、固定資産税の経費計上の点が挙げられます。

 

年の中途で亡くなられているにも関わらず、ついつい前年と同様に計上してしまったり。

実務においては、固定資産税の計上方法の指導がされない事も多々あるため、今回は誤りやすい準確定申告における、固定資産税の計上方法について説明をします。

 

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原則的な固定資産税の計上方法

個人で事業所得や不動産所得がある方の場合、事業に伴い使用する土地や建物の固定資産税や償却資産税を、必要経費に計上します。

 

所得税法では、固定資産税の必要経費算入方法が、下記のように定められています。

下記において、納税通知書を例に、固定資産税の経費計上の方法を3通り説明します。

納税通知書が手元に郵送された来た日は、5/1と仮定します。

固定資産税通知書受取時に全額を経費とする方法

納税通知書受取時に、事業や貸し付けを行っていた場合には、この方法の適用が可能です。

 

 

各納期開始の日に各期の税額を経費とする方法

各納期開始の日に、事業や貸し付けを行っていた場合には、それぞれの納期開始の日に、この方法の適用が可能です。

 

実際に納めた時に納めた金額を経費とする方法

実際に固定資産税を納めた日に、事業や貸し付けを行っていた場合には、その納付の日にこの方法の適用が可能です。

 

◇ ポイント ◇

・いずれの方法を採用するにしても、納税通知書が手元に来て初めて経費計上が可能となります。

・上記の3つの方法は、納税通知書を受け取った時、各納期開始の日、実際に固定資産税を納めた日において、事業等を行っていたか否かが判断のポイントになります。

準確定申告の固定資産税の計上方法

上記の通り、固定資産税の経費計上が可能となるのは、納税通知書が手元に届いてからです。

その計上方法は、3パターンであり、納税者がいずれかの方法を選択する事になります。

 

準確定申告でのポイントは、事業者をされていた方が亡くなられた時に、納税通知書が手元に届いていたかどうかです。

 

例えば5/1に納税通知書が手元に届いた場合、4/30までに発生した準確定申告では、新年度(平成31年)の固定資産税は、経費計上ができません。

 

 

固定資産税の計上方法の具体的な例

5/1に事業者である被相続人の手元に固定資産税の納税通知書が届き7/10に事業者が亡くなった場合の例をあげておきます。

 

パターンが複数ある場合には、任意でいずれかの方法を選ぶ事になります。

死亡日7/10までに全額納めている場合

死亡日7/10までに一部(第1期)のみ納めている場合

死亡日7/10までに全く納めていない場合

まとめ

準確定申告における固定資産税の計上時期については、賦課期日や賦課決定の日ではなく、原則は手元に通知書が届きその税額が発覚した時です。

 

例外として、納期開始の日に各納期の金額を、また実際に納めた日に納めた金額を経費とする方法が認められています。

 

相続税や法人税の混同しがちであり、毎年同様に計上をしていると、誤りやすい部分です。

準確定申告の場合については改めて注意してみましょう。

根拠法令

所得税法第37条(必要経費)

所得税基本通達37-5(固定資産税の必要経費算入)

所得税基本通達37-6(その年分の必要経費に算入する租税)