共働きLGBTカップルが住宅ローンを利用する場合の税務上の注意点。
2017年以降、LGBTカップル向けの住宅ローンを取り扱う金融機関が多くなりました。
パートナーシップ証明や任意後見人契約公正証書が必要であったり、ペアローン、収入合算ローン、連帯債務住宅ローンなど、金融機関により要件等が異なります。
しかし、LGBTカップルでも、住宅ローンを利用しやすくなったことは事実です。
多くのLGBTカップルは、通常の夫婦間と同様、共働きが殆どです。
故に、ローン返済は、共稼ぎの生活資金が原資になると考えられます。
今回は、共働きLGBTカップルが住宅ローンを利用する場合の注意点を、ザックリ説明します。
なお、ここでは住宅は、一方が100%単独所有を前提としています。
共有持分家屋の場合、取り扱いが異なります。
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男女間の共働き夫婦で住宅ローンを返済する場合
通常の男女間の夫婦の場合、夫名義で住宅を購入&住宅ローンを組み、共働きでローンを返済する場合があります。
ローンの返済は、借主である夫の口座から引き落としされます。
ただし、一般的に共働きの場合、ローンの返済資金は、夫婦の収入共同で行われます。
このような場合、本来の借主である夫は、妻から返済資金の贈与を受けたことになります。
【年間ローン返済額100万円のうち、40万円を妻が負担】
しかし、通常の男女間の共働き夫婦の場合、即座に贈与の問題が生じるわけではありません。
共働き夫婦が共同でローンを返済する場合、年間のローン返済額をお互いの所得で按分し、それぞれ返済すべき金額を算出します。
そして、負担すべき返済額を超えた部分が、妻から夫に対する贈与になります。
【例:年間ローン返済額100万円のうち40万円を妻が負担、夫所得300万、妻所得200万】
しかし、お互いが他人であるLGBTカップルに、この適用はありません。
LGBTカップルで住宅ローンを返済する場合
通常の夫婦と同様に、LGBTカップルの一方の名義で住宅を購入&住宅ローンを組み、カップル2名でローンを返済する場合があります。
ローンの返済は、一方の口座から引き落としされます。
ただし、ローンの返済資金は、カップルの収入によって共同で行われます。
男女間の夫婦であれば、先述のように、お互いの所得で返済すべきローンの額を按分します。
しかし、夫婦ではないLGBTカップル間に、その適用はありません。
本来の借主は、パートナーが負担した返済資金の贈与を受けたことになります。
【年間ローン返済額100万円のうち、40万円をパートナーが負担】
LGBTカップルは、例え共働きであっても、夫婦ではありません。
自身の名義で借りたローンは、全て自分で返済する必要があります。
年間110万までは贈与税は0円
上記は通常の住宅ローンの他、連帯債務住宅ローンの場合によく見受けられます。
例え贈与とみなされた場合でも、その額が年間110万円までは贈与税はかかりません。
夫婦間の場合、問題になることはそれ程ありません。
しかし、LGBTカップルは現在の所、赤の他人です。
ローンを負担してもらった場合、例え贈与税が0円であっても、年間負担額を明らかにしておく必要があります。
LGBTカップル対象の住宅ローンを扱う金融機関は増加しており、住宅購入をするカップルも増加するかもしれません。
ただし、通常の夫婦間とは取り扱いが異なることが考えられます。
ペアローン、連帯債務、またカップル間の共有名義にするなど、方法は複数考えられます。
しかし、後々贈与をみなれないよう、事前に取り扱いを理解しておく必要があります。
根拠法令
共かせぎ夫婦の間における住宅資金等の贈与の取扱について
まとめ
今回は、共働きLGBTカップルが住宅ローンを利用する場合の税務上の注意点について、ザックリ説明しました。
通常の夫婦間の場合、殆ど問題になることはありません。
しかし、赤の他人であるLGBTカップルの場合は異なります。
LGBTカップルが住宅を購入する場合、共有持分による連帯債務など、いくつかの方法を鑑み、最もリスクが低い方法をとることが肝要です。