LGBTカップルのマイホームの譲渡。敷地と家屋の所有者が異なる場合の居住用財産3,000万円特別控除について。
若い頃から長年、共に暮らす同性カップルの中には、マイホームで暮らす方々がいます。
お互いが正社員のゲイカップルの場合、マイホームを有する方は少なくありません。
そしてその後、様々な事情により、マイホームを売却することも珍しくありません。
通常、マイホームの譲渡には、居住用財産の特別控除があります。
しかし、敷地と家屋の所有者が異なる場合、それがLGBTカップル間であれば、特別控除の適用はありません。
今回は、LGBTカップルの居住用財産の特別控除について、ザックリ説明します。
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Contents・目次
マイホームの譲渡益は3,000万円まで課税されない
自己所有のマイホームで生活をする同性カップルも、実は割と多くいます。
LGBTフレンドリーという言葉が存在しかった2000年以前、同性間で賃貸契約するよりも、マイホーム建築の方が、遥かに容易だったからでしょう。
しかし、時が経過し様々な事情により、マイホームを手放す方も見受けられます。
通常、マイホーム(敷地と家屋)を譲渡した場合、確定申告をすることで、譲渡益3,000万円までは課税されません。
ただし、敷地と家屋の所有者が異なる場合、通常の場合と要件が異なります。
妻名義土地の上に、夫が住宅を建てるような場合です。
LGBTカップルのマイホームの場合も、同様のパターンがあります。
一方のパートナー所有の土地の上に、もう一方のパートナーが、住宅を建築するパターンです。
通常の夫婦間の場合、敷地と家屋の所有者が異なる場合も、居住用財産の特別控除の適用があります。
しかし、他人同士の同性カップル間の場合、その優遇税制措置はありません。
敷地と家屋の所有者が異なる場合の居住用財産の特別控除
通常の夫婦間の場合、妻名義土地の上に、夫が住宅を建てる場合があります。
または、妻・夫共有名義の土地の上に、夫名義の住宅を建てることもあります。
これらの場合、敷地と家屋の所有者が異なります。
その後、転居等の理由により、その敷地と建物を売却することがあります。
通常の夫婦間は、以下の条件を満たすことで、居住用財産の特別控除の適用が可能です。
【1:敷地と家屋を共に譲渡】
【2:敷地と家屋の所有者がお互いに親族かつ同一生計】
【3:敷地と家屋の所有者がお互いに家屋を居住用にしている】
通常の夫婦間の場合、上記の条件を満たします。
敷地と家屋の所有者が異なる場合でも、居住用財産の特別控除の適用が可能です。
まず家屋の譲渡益から3,000万円を控除します。
3,000万円の使い残しがあれば、土地の譲渡益から残りを控除します。
そして、上記1から3の条件は、居住用財産の軽減税率の適用についても同様です。
敷地と家屋の所有者が異なる場合でも、上記条件を満たのなら、所有期間10年超のマイホームの譲渡益について、軽減税率の適用が可能です。
同性カップル間は家屋の売却のみ特別控除あり
同性カップルの場合、一方のパートナー所有の土地の上に、もう一方のパートナーが住宅を建築することがあります。
同性カップル間で、土地と家屋の所有者が異なる場合、前述の取り扱いと異なります。
お互いは親族に該当しません。
よって、家屋のみ居住用財産の特別控除の適用が可能です。
土地の譲渡益については、その適用はありません。
更に、所有期間10年超のマイホームの譲渡に適用される、軽減税率の適用もありません。
通常の土地の譲渡益課税(20.315% or 39.63%)が課税されます。
同性カップル間でマイホームを所有する場合、何となく土地は一方、建物をもう一方とする方もいるようです。
しかし、土地・建物の所有はシンプルに同一名義の方がスムーズです。
その後の売却の事を考慮するのなら、敷地と家屋を同一名義にするべきです。
根拠法令
租税特別措置法第35条第2項(居住用財産の譲渡所得の特別控除)
租税特別措置法第31条の3居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)
まとめ
今回は、LGBTカップルのマイホームの譲渡について、敷地と建物の所有者が異なる場合をザックリ説明しました。
マンションを含め、同性カップルでマイホームを所有する方は、意外に多い傾向があります。
同性間の賃貸契約の煩わしさを鑑みた場合、マイホーム所有の方が気楽だからです。
しかし、マイホームを譲渡した場合、通常の夫婦間と同様ではない事を留意しておく必要があります。