法人が現金経費を役員借入で処理をする場合の会計記帳手順とその方法。

個人事業が法人化する場合、役員1名 or 配偶者と2名による設立が多い傾向にあります。

 

現金で経費を支払う際、一旦、役員が立替えて(役員借入金)、後日、法人から役員に返済処理をする事が多々あります。

 

現金勘定を使用しないため、非常にシンプルな経理処理になります。

 

しかし、役員立替金明細書を作成していない、役員が立替えた額がわからない。

 

1人社長会社の場合、そのような方が多いことも事実です。

 

役員借入金は現金勘定そのものであり、一歩間違えれば、役員報酬そのものです。

 

今回は、法人が役員借入金で会計処理する場合の注意事項について、ザックリ説明します。

 

 

 

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いきなり役員借入金で会計処理をしない

現金経費を役員借入金で処理する場合、いきなり会計経理をする方が後を絶ちません。

 

領収書を見ながら手入力、レシートをクラウド会計に取り込むなど、その方法は様々です。

 

しかし、それでは最終的な役員借入金の正しい残高を把握できません。

 

役員借入金の帳簿残高が、本当に正しい金額であるのか、把握不可能です。

 

会計処理をする場合、必ずその元となる会計帳簿が必要です。

 

即ち、会計処理をする前に、役員立替金明細書を作成します。

 

月ごとの役員立替金明細書を作成し、正確な役員借入金合計額の把握が必要です。

 

以下、役員借入金として会計処理をする場合の基本的な記帳手順を説明します。

 

①月ごとの役員立替金明細書を作成

役員が立て替えた現金経費のレシートを元に、月ごとに役員立替金明細書を作成します。

 

立替金明細書の作成は、エクセルがベストです。

 

1枚1枚レシートをみながら、日付、金額、支払先、購入した物や内容を記載します。

 

そして、立替金明細書の1か月の合計金額を算出します。

 

役員立替金明細書は、日付順にする必要はありません。

 

 

 

 

 

 

また、レシート現物に電卓をいれて合計金額を算出します。

 

物理的にレシートを集計し、合計額を算出しておきます。

 

 

 

 

 

 

そして、役員立替金明細書の合計金額と、レシート現物の合計金額の一致を確認します。

 

ここで一致したら、役員立替金明細書の完成です。

 

 

 

 

 

 

これで、会計処理の元となる会計帳簿が完成しました。

 

これで初めて、会計記帳をすることができます。

 

②役員立替金明細書から会計処理

役員立替金明細書が完成したら、作成した役員立替金明細書から、会計処理を行います。

 

役員立替金明細書から会計仕訳を起こしてもよいですし、

 

エクセルをCSV等に加工し、会計ソフトにインポートしてもよいですし、

 

または、レシート画像を取り込み仕訳を作成するなど、その方法は問いません。

 

 

 

 

 

 

 

 

いきなりレシートから会計処理するのではなく、まず立替金明細書を完璧に作成します。

 

そして、完璧な立替金明細書から、会計処理を行います。

 

③帳簿上の役員借入金発生額と立替金明細書合計額の一致を確認

会計入力完了後、会計処理が正しく処理されているのか確認を行います。

 

残高試算表の帳簿上の役員借入金の発生額と、立替金明細書の合計額の一致を確認します。

 

ここが一致すれば、会計仕訳のもれや失念はありません。

 

 

 

 

 

 

これで役員借入金残高が確定します。

 

役員借入金処理をする法人の場合、役員に返済し過ぎである状況(役員借入金がマイナス)も多々見受けられます。

 

役員借入金残高を、正確に捉えていないために起こり得る事態です。

 

税務調査時、ずさんな印象を与えてしまうため、残高は必ず確定させます。

④役員借入金元帳から会計仕訳を確認

そして、役員借入金の総勘定元帳から会計仕訳を確認します。

 

 

 

 

 

 

役員借入金の相手勘定は、適切な勘定科目で処理されているかチェック。

 

資産科目が費用になっていないか、費用が科目が資産になっていないかチェックします。

 

⑤役員立替金明細書とレシート等をセット保管

上記④までミスがないことが確定したら、会計処理誤り、役員借入金残高の相違はありません。

 

立替金明細書とレシート原本をセットで原始帳票として保管します。

 

 

 

 

 

⑥適宜役員借入金を預金振込で返済する

⑤までの処理が済んだ後、適宜、役員借入金を返済します。

 

残高試算表の当月残高の役員借入金が、法人から役員へ返済すべき金額です。

 

 

 

 

 

 

役員借入金の返済は、必ず法人口座から個人口座へ振込で行い、記録が残るようにします。

 

過不足があった場合、いついくら返済したか把握可能だからです。

 

まちがっても、法人口座から現金ひ引き出し、現金返済してはいけません。

役員借入金は期末or期首に全額返済する

毎月きっちり会計処理を行えば、毎月末or期末に役員借入金残高が確定します。

 

残高に相違がないことが確定したら、きっちり役員に借入金を返済します。

 

本来は法人が現金出納帳を作成し、法人の現金で支払うべきものです。

 

役員借入金がいつまでも残っている法人は、だらしがない会社そのものです。

 

決算期末 or 期首には、役員借入金がゼロになることが望ましいと考えられます。

 

まとめ

今回は、法人が現金経費を役員借入金で会計処理する方法について、ザックリ説明しました。

 

役員借入金処理は、安易に利用しがちです。

 

しかし、実際は現金出納帳そのもの。

 

役員借入金を返済し過ぎている場合、役員貸付金というよりも、役員報酬そのもの。

 

役員借入金処理をする場合は、必ずその元となる役員立替金明細書から、正確に処理をしていく方が、ベターです。