住宅ローンがある新築住宅を減価償却する場合の注意点。貸借対照表の建物はマイナスにならない。
フリーランスや個人事業主の場合、自宅の一部を業務専用部屋とする場合があります。
住宅ローンを組み、新築住宅の一部を減価償却し、必要経費に算入する方も少なくありません。
しかし、青色決算書の貸借対照表を確認すると、建物勘定がマイナスをよく目にします。
特に、住宅ローンを組んで新築住宅を減価償却する場合に、よく見受けられます。
貸借対照表の金額がマイナスになることはあり得ません。
今回は、住宅ローンを組んで新築住宅を減価償却する場合について、ザックリ説明します。
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業務用の新築住宅を減価償却した場合のよくあるミス
住宅ローンを組んで新築住宅の一部を業務用とした場合、建物の減価償却を行います。
殆ど方が、青色決算書の減価償却の部分を正しく作成されています。
特にクラウド会計を利用する場合、その設定は難しくありません。
取得日、取得価額、事業割合を設定し、以下のように適正に減価償却を作成しています。
【木造家屋 令和4年1月1日取得 取得価額30,000,000円 事業割合30%の場合】
しかし、貸借対照表の建物を確認すると、以下のようにマイナス表示の場合が多々あります。
クラウド会計を利用している方に、非常によく散見される誤りです。
貸借対照表の固定資産勘定に、マイナス表示はあり得ません。
マイナス表示になる理由は、適正な処理が行われていないからです。
ローンで建物を取得した会計処理がされていないからです。
青色申告65万円控除を受けるのであれば、適正な貸借対照表の作成が必要です。
以下、住宅ローンを組んで新築住宅を減価償却する場合の処理について、ザックリ説明します。
業務用の新築住宅を減価償却する場合の処理
住宅ローンを組んで業務用住宅の一部を減価償却する場合、まず会計処理を行います。
以下を例に、ローンで建物を取得したという会計処理を行います。
【木造家屋 令和4年1月1日取得 取得価額30,000,000円 事業割合30%の場合】
【ローンで住宅取得をした会計処理】
建築価額(取得価額)は、工事請負契約書記載の請負価額です。
追加工事がある場合、その価額を加算します。
通常、ローン金額は建築価額より少ないはずです。
ローン以外に、自己資金や両親等からの贈与を充当しているはずです。
故に、建築価額とローンの差額は、事業主として処理をします。
【ローン返済時の処理】
普通預金からローンを返済する度に、その会計処理を行います。
支払利息は1年間の合計額に事業割合を乗じ、事業割合部分のみ経費に計上します。
【減価償却の登録】
取得価額、耐用年数、取得日、事業割合を設定し、減価償却に登録します。
【木造家屋 令和4年1月1日取得 取得価額30,000,000円 事業割合30%の場合】
本年分の必要経費算入額と、未償却残高を確認し、会計処理を行います。
【損益計算書を確認】
減価償却費の金額が、減価償却費の計算の本年分の必要経費算入額と一致するか確認します。
また、利子割引料の金額が、事業割合分の合計になっているか確認します。
【貸借対照表を確認】
建物の金額が、減価償却費の計算の未償却残高と一致する確認します。
また借入金が、住宅ローンの残高証明書の残高と一致するか確認します。
全て一致すれば適正に処理されており、誤りはありません。
住宅ローンを組んだ新築住宅を減価償却する場合、住宅取得の会計処理を忘れがちです。
また、青色決算書の各チェックポイントも見落としがちです。
青色申告65万円控除を適用する場合、適正な帳簿記帳簿が必要です。
貸借対照表がマイナスの場合、複式簿記による経理がされていません。
クラウド会計等に任せるのではなく、自身でチェックすることが大切です。
まとめ
今回は、住宅ローンを組んで新築住宅を減価償却する処理について、ザックリ説明しました。
貸借対照表がマイナスになっている場合、どこか誤りがあります。
その場合は、根本的に何かが抜けていることが殆どです。
クラウド会計を使用する場合、そのチェックポイントが非常に重要です。
利便性だけでなく、その処理が適正であるのか、申告前に必ず確認する必要があります。