所得税損失申告書の作成手順その2。純損失の繰越控除を行うとき。

前回は、給与所得と赤字の事業所得を通算して、赤字を翌年に繰り越す場合の所得税の損失申告書の書き方を説明しました。

→ 2019.07.01給与所得と赤字の事業所得の所得税確定申告書と損失申告書の書き方。起業した年は必ず確定申告をしよう

 

今回は、前年から繰り越された純損失(赤字)を今年の黒字の事業所得と相殺し、更に翌年へ繰り越す場合の書き方を説明します。

 

なお、下記の説明は平成30年を今年、平成29年を前年、令和元年を翌年と仮定しています。

 

損失申告書や赤字を翌年へ繰り越す申告書は、国税庁のe-taxから簡単に作成可能です。

 

しかし、どんなロジックで作成されたのか、必ず自分で把握できるようにしましょう。

 

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青色決算書を確認する

まず青色決算書を確認します。

 

色で部分が所得税の確定申告書と連動しています。

 

今年は売上が5,000,000円、所得金額が60,000円です。

 

売上金額①は確定申告書第1表へ、青色申告特別控除後の所得金額は確定申告書第1表へ転記されます。

 

 

 

所得税確定申告書第1表の作成

先述の通り、青色決算書で赤く囲った部分を確定申告書へ転記します。

 

売上金額を確定申告書のへ、所得金額を確定申告書のへ転記するだけです。

 

黒字の事業所得の金額60,000円は、前年の純損失と相殺します。

 

よって、損失申告書第4表で処理を行うため、確定申告書第1表においては合計額は記載しません。

 

 

 

 

 

損失申告書第4表の作成

第1表の作成後、損失申告書を作成していきます。

1、損失額又は所得金額の欄と損益の通算の欄

まず「1.損失額又は所得金額」の項目で、確定申告書第1表の所得金額「①から⑦」を合計し、合計額60,000円を損失申告書の「59」に記載します。

 

今回は他に赤字や黒字の所得がありませんので、「2.損益通算」は「59」の金額を転記して右にスライドするだけです。

 

そして「59」の所得金額合計60,000円を、素直に「71」の損失額又は所得金額の合計額に60,000円を記載します。

 

 

 

 

2、前年の損失申告書を確認する

さてここで前年平成29年の損失申告書の登場です。

 

必ず前年の損失申告書で、実際に繰り越した純損失の金額を確認します。

 

 

 

 

 

上記より、平成29年の損失申告書では、確かに事業の赤字△100,000円が翌年へ繰り越す処理が行われています。

 

青で囲った前年の損失申告書「72」の部分です。

 

ここは必ず手元に保存している前年の損失申告書を確認しましょう。

 

国税庁のe-taxを利用しても、前年の損失は自分で手入力です。

 

誤ると修正申告をする事になります。

3、翌年以後に繰り越す損失額と繰り越し損失を差し引く計算

今年は赤字は生じていない為、「3.翌年以後に繰り越す損失額」は何も記載しません。

 

「4.繰り越し損失を差し引く計算」で、今年の黒字の所得と昨年の赤字を相殺します。

 

平成29年の「C」の欄で差し引き計算します。

 

青の部分100,000円が、前年の損失申告書「72」で繰り越された損失です。

 

赤の部分60,000円が、今年の損失申告書「71」で記載した事業の黒字です。

 

緑の部分が、単純に差し引き後の金額40,000円です。

 

これで翌年へ40,000円純損失が繰り越され終了です。

 

 

 

 

 

 

翌年の損失申告書

翌年へ繰り越した損失40,000円を黒字と相殺する場合、その記載する場所の確認をします。

 

来年、事業が黒字となった場合には、今回繰り越した損失40,000円と相殺できます。

 

その場合には、来年の申告書には「B」の部分で計算を行うことになります。

 

 

 

 

 

 

再度今年の確定申告書第1表の確認

さて、確定申告書第1表に戻ります。

今回、事業所得60,000円を昨年の繰り越し損失と相殺しました。

よって、本年で差し引く繰越損失「54」に60,000円を記載して終了です。

 

 

 

まとめ

今回は前年の繰り越し損失がある場合の、所得税の確定申告書、損失申告書の記載方法の確認をしました。

 

繰り越し損失を記載する部分は、国税庁e-taxでは手入力となる為、必ず前年の損失金額を確認し、正しいか否か確認できるようにしておきましょう。

 

また純損失の繰り越し控除を受ける為には、毎年必ず確定申告書を提出する事が条件です。

 

忘れずに確定申告を行いましょう。