青色事業専従者になるための条件。専ら従事要件とは?配偶者控除との関係とは?

個人事業主の節税手段の1つとして、青色事業専従者給与があります。

 

事業主と同一生計の配偶者や親族に対する給与を、特別に必要経費にする制度です。

 

比較的多く利用されている制度ですが、事業主の業務に「専ら従事すること」が条件です。

 

そしてその「専ら従事」とはどのような状態であるのか、悩むことも少なくありません。

 

今回は、青色事業専従者の専ら従事要件と、配偶者控除等の関係について、いくつかザックリ説明します。

 

 

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青色事業専従者が専ら従事している状態

青色事業専従者の「専ら従事」とは、以下の「従事日・従事時間」と「従事期間」の2点を吟味します。

 

【①従事日・従事期間】

事業主の業務日は、当然、専従者も業務に従事する必要があります。

 

例えば、事業主が月曜~金曜営業の場合、専従者も月曜~金曜日まで従事すべきです。

 

専従者のみ午前だけ、午後だけという勤務は、専ら従事とは言えません。

 

 

 

 

 

 

また、専従者が他に仕事を有する場合、月曜から金曜までは、自身の仕事に従事できません。

 

自身の仕事に従事した日は、事業主の業務に従事したことにならないからです。

 

例えば、事業主の業務の営業日が月曜から金曜の場合、業務に従事すべき金曜に、専従者がパート等に勤務することはできません。

 

 

 

 

 

 

【②1年を通じて6か月超の期間従事していること】

事業に従事する期間は、1年を通じて6か月超とされています。

 

 

 

 

 

 

ただし、開業(結婚、進学、就職、病気を含む)した場合など、特別な事情がある場合、従事可能期間の1/2超の期間従事すればよいとされています。

 

例えば9/1に開業した場合、9月以降の期間の1/2超を専ら従事する必要があります。

 

 

 

 

 

 

上記が、青色事業専従者に該当するための条件です。

 

以下、専従者給与について悩む事が多いパターンをいくつか説明します。

 

結婚・就職・進学・病気等で専従者を止めた場合

専従者だった親族が、やむを得ない事情により、専従者を止めることがあります。

 

例えば、結婚、就職、進学、病気等の場合です。

 

これらの場合、従事可能期間の1/2超を専ら従事すれば、青色事業専従者控除が可能です。

 

例えば、専従者が4月に就職し、4月以降の期間は事業に従事しなくなった場合、1月から3月までの1/2超の期間専ら従事すれば、青色事業専従者控除が可能です。

 

 

 

 

 

 

ただし、一度でも青色事業専従者として専従者給与の支給を受けた場合、事業主の配偶者控除や扶養親族になることはできません。

 

例え配偶者控除や扶養控除の所得要件を満たしたとしても、事業主側で配偶者控除や扶養控除の適用はできません。

 

単なる自己都合で専従者を止めた場合

専従者だった親族が、前述の結婚・就職等以外の事情により、専従者を止めることがあります。

 

単純に仕事が嫌になった、他にやりたいことができたなど、単なる自己都合による場合です。

 

これらの場合、1年を通じて6か月超を専ら従事すれば、青色事業専従者控除の適用が可能です。

 

例えば、専従者だった親族が3月末に自己都合で従事を止めた場合、年を通じて6か月超に満たないため、青色事業専従者に該当しません。

 

 

 

 

 

専従者が別生計になった場合の配偶者(特別)控除

先述のように、専従者だった親族が結婚し、専従者から外れて別生計になることがあります。

 

別生計とは、事業主(親)から離れ、婚姻した配偶者(夫)と共に生活する場合等です。

 

この場合、所得要件を満たすのであれば、その嫁ぎ先の夫は、配偶者控除や配偶者特別控除を受けることが可能です。

 

その年に事業主から一度でも専従者給与の支給を受けた親族は、その事業主の配偶者(特別)控除や扶養控除の対象にはなりません。

 

 

 

 

 

 

しかし、嫁ぎ先の夫は、専従者給与を支給する事業主ではありません。

 

よって、所得金額要件を満たす限り、夫側で配偶者(特別)控除の適用が可能です。

 

 

 

 

 

 

なお、別生計の場合も、事業主(親)の仕事に従事し、給与の支給を受けることが可能です。

 

この場合は同一生計ではないため、通常の一般社員と給与と何ら変わりありません。

 

専従者自身が個人事業主の場合

夫婦でお互いに事業を営む場合、一方がその配偶者の専従者を希望することがあります。

 

専従者が他に職業(個人事業や給与所得者)を有する場合、 配偶者の青色事業専従者になる為には、従事可能期間の1/2超を専ら従事すればいいとされています。

 

ただし、自身の個人事業に従事した日は、配偶者の事業に専ら従事したことになりません。

 

例えば、配偶者の個人事業が月曜日から金曜日までの場合、月曜から金曜までは、配偶者の事業に専ら従事しなければなりません

 

 

 

 

 

午前のみ従事、午後のみ従事した場合、専ら従事したことになりません。

 

月曜から金曜までは、自身の個人事業ではなく、配偶者の個人事業に従事する必要があります。

 

2つの事業の専従者になる場合

父親と夫がそれぞれ別々の個人事業を営む場合、それぞれの専従者になることを希望する方がいます。

(全員同一生計であることが前提です。)

 

専従者の条件は、1年を通じて6か月超専ら従事することです。

 

一方の事業に6か月超従事した場合、必然的に一方は6か月未満となります。

 

 

 

 

 

よって、異なる2名の事業主の事業専従者になることはできません。

 

根拠法令

所得税法2条第1項第33号(同一生計配偶者)、33号の2(控除対象配偶者)

所得税法第56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)

所得税法第57条(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)

所得税法施行令第164条(青色事業専従者給与の判定基準等)

所得税法施行令第165条(親族が事業に専ら従事するかどうかの判定)

まとめ

今回は青色事業専従者の要件や、配偶者控除との関係について、よくある質問をザックリ説明しました。

 

青色事業専従者控除は多く利用されている節税手段ですが、条件が非常に厳しい節税手段です。

 

知らず知らずのうちに、専ら従事要件を満たしていないこともあります。

 

青色事業専従者控除を適用する時は、専ら従事要件を充当しているか、一度確認をする必要があります。