生存中に受け取るがん保険の生存給付金等の課税関係
日本の死亡原因として上位のがん。
多くの方が、がんを患ってしまった場合に備え、がん保険の加入されています。
がん保険の給付というと、がんで入院や手術をした場合に給付される、入院給付金、手術給付金です。
しかし、ここ10年程で、がんと診断された場合に、診断一時金また生存一時金(以下、生存給付金等)の給付を受ける保険が一般的になりました。
実際の保険契約において、しばしば、「保険料負担者はご主人」であり、「生存給付金の受取人が配偶者」とされている場合があります。
そして実際に、生存給付金が支給された時、贈与税や所得税について心配される方がいらっしゃいます。
そこで生存中に受け取る、がん保険の生存給付金の課税関係について、ザックリ説明します。
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贈与税の対象になる保険金
親族が亡くなり、相続が発生した場合、死亡保険金を受け取る場合があります。
保険料を負担した方が、保険金受取人や被相続人以外の場合、保険金受取人は、保険料負担者から贈与により、その死亡保険金を支給されたものとみなされます。
しかし、贈与税の対象とされる保険金は、保険事故が被相続人の死亡による死亡保険金、若しくは満期保険金等に限定されています。
よって、がん保険の生存給付金のように、心身に障害や病気を患ったことにより支給を受ける保険金の場合、贈与税の対象にはなりません。
◆贈与税の対象になる保険金
→ 保険料負担者が被相続人や保険金受取人以外
→ 被相続人の死亡による死亡保険金、若しくは満期保険金等
◆贈与税の対象にならない保険金
→ 保険事故が被相続人の病気や障害であること
→ 死亡によるものではないこと
生存給付金等の受取人が保険料負担者以外の場合
がん保険の生存給付金等については、保険料を負担した方以外が保険金受取人なることもあります。
(多くの場合、配偶者が受取人とされているようです。)
この場合、配偶者は保険料を負担していないため、受け取った保険金には、贈与税がかかるように思われます。
しかし、がんの生存給付金等の保険事由は、がんを患ったことによる、心身の障害や病気によるものです。
よって、贈与税がかかる保険金には該当しません。
生存給付金等には所得税もかからない
個人がケガや病気を患い、傷害や病気を保険事故とする保険金の支給を受けた場合、所得税がかかりません。
しかし前述の場合、ガン入院給付金の原因となるガンを患ったのは被相続人であり、保険金を受け取った配偶者ではありません。
この場合においても、保険金を受け取った配偶者に対しては、所得税はかかりません。
所得税においては、心身に障害や病気を患い保険金を支給された場合、その保険金は非課税とされています。
ただし、その保険金受取人が、障害や病気になった方以外の場合でも、保険金は非課税とされています。
具体的には、保険金受取人が、配偶者や直系血族、同一生計の親族の場合にも、非課税の保険金とされます。
◆所得税の対象にならない保険金
→ 心身の障害や病気によるもの
→ 保険金受取人は、被保険者自身だけでなく、配偶者、直系血族、同一生計親族など
根拠法令
相続税法第3条1項第1号 相続又は遺贈により取得したものとみなす場合
相続税基本通達3-7 法第3条第1項第1号に規定する保険金
所得税法第9条第1項第17号 非課税所得
所得税法基本通達9-20 身体に損害を受けた者以外の者が支払を受ける傷害保険金等
まとめ
保険金を受け取った場合、自分以外の方が保険料を負担していた場合には、贈与という問題がつきまといます。
しかし、病気やケガによる保険金の支給を受けた場合、その多くは非課税となる事が多くあります。
保険金の支給を受けた場合には、被保険者、保険料負担者、保険金受取人、また保険事由や保険事故を把握しておきましょう。