年の差LGBTカップルの財産移転。パートナーに財産を渡すなら現金預金の暦年贈与が第1選択手段。
LGBTカップルの場合、10歳以上そこそこの年の差カップルをよく目にします。
多くの場合、年の上の方が年収が高く、現預金をはじめとした資産がある方が殆どです。
彼らの悩み事の1つに、パートナーに資産を移転したいという希望があります。
現行の法令上、LGBTカップルの財産を移転する賢い方法は、現金預金の暦年贈与です。
コツコツ毎年、現金贈与をする方法が、最も賢い手段です。
all paints BY Ryusuke Endo
生存中に財産を移転する方法は贈与
LGBTカップルから、しばしば、パートナーに財産を遺したいという相談を受けます。
彼らの殆どは、10歳以上の差カップルが多い傾向にあります。
お互いが若い年齢であれば、遺産という考えには至らないでしょう。
しかし、ある程度時間を共にし、一定の財産が形成される50代、60代にもなると、パートナーに財産を遺したいと考えるようになります。
更には、自身の生存中に、パートナーに財産を移転したいと思う方が殆どです。
財産を移転する手段は、いわゆる贈与になります。
LGBTカップルの場合、遺言書を交わさない限り、自然に相続人になることはできません。
確実にパートナーに固有の財産にする為には、生前贈与が最も堅実な方法です。
ただし、自宅などの固定資産を贈与しようと考える方も一定数いるようです。
LGBTカップル間で贈与を検討する場合、素直に現金贈与がベストです。
土地建物の生前贈与はしない
50代にもなると、現金預金のほか、当然、自宅土地建物を所有する方もいます。
2人で生活するLGBTカップルでも、自宅土地建物を有する方は大勢います。
しかし、例え自宅を所有していたとしても、パートナーに生前に移転すべきではありません。
婚姻期間20年の通常の夫婦間の場合、自宅の贈与は、贈与税の配偶者控除が適用されます。
自宅の贈与をした場合、2,000万円までは非課税となり、贈与税は発生しません。
さらに、贈与税の配偶者控除の適用を受けた金額は、生前贈与から除外されます。
(以下は、自宅の時価が2,000万円の場合)
しかし、LGBTカップルの場合、贈与税の配偶者控除の適用はありません。
自宅の贈与は、単なる贈与でしかありません。
また、遺言等で財産を相続した場合、生前贈与の課税対象になります。
わざわざ贈与税を支払うのであれば、自宅はパートナーから相続する方が自然です。
パートナーと包括遺贈による公正証書遺言を交わすことで、自宅の相続が可能です。
(ただし、遺留分の問題は残ります。)
生前に財産を移転するのであれば、より流動性が高い現金預金を贈与し、確実に生活の糧を形成した方が無難です。
生前贈与は必ず現金預金を移転する
パートナーに遺産を渡したいのであれば、現金贈与一択です。
年間1,100,000円まで贈与であれば、贈与税はかかりません。
また、年間2,000,000円程度であれば、贈与税は90,000円です。
毎年コツコツと、1,100,000円から2,000,000円の範囲内で現金預金贈与がベターです。
確実パートナー固有の財産とするために、贈与証書を作成します。
また、必ず預金振込で現金預金を贈与します。
そして、翌年の3月15日までに、贈与税の確定申告を行います。
例え贈与した金額が1,100,000円で贈与税0円であっても、贈与税の確定申告を済ませます。
根拠法令
相続税法第19条(相続開始前三年以内に贈与があつた場合の相続税額)
相続税法第21条の6(贈与税の配偶者控除)
まとめ
LGBTの方から、生前の財産を移転したいという希望をよく聞きます。
財産を移転するのであれば、流動性が高く、もっとも財産形成可能な現金預金がベストです。
自然に遺産を取得するためには、やはり遺言公正証書は欠かせません。
ただし、遺留分の問題は解決できません。
お互いの家族とは必ず話し合う必要があります。