連帯債務による住宅ローン控除の対象となる借入金の考え方

昨年10月の消費税率の改定により、一定の要件の下、住宅ローン控除期間が13年の特例が創設されています。

 

共働きの夫婦では連帯債務契約により、住宅ローン控除の適用を考える方も少なくありません。

 

連帯債務契約の住宅ローンの場合、建物や土地の持ち分は仲良く50%ずつという家庭が多い傾向にあります。

 

ただし、連帯債務のローン返済割合は所得に応じて決定し、贈与税が発生するケースもあるとされています。

 

今回は、連帯債務契約により住宅ローンを組む場合、考慮しておくべき事項についてざくり説明しておきます。

 

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連帯債務割合を定めない場合のローン控除対象となる借入金

例えば夫婦の連帯債務契約で一戸建てを購入する場合、建物の持ち分を夫婦で共有する場合があります。

 

多くの場合、夫婦で50%ずつ共有登記する方が多いようです。

 

連帯債務住宅ローンは、夫婦がお互いに住宅ローン控除の適用を受ける事が可能であり、高い節税効果があります。

 

夫婦間で返済すべき借入金の割合を定めていない場合、ローン控除対象となる借入金額は、「それぞれの持ち分割合に応じた金額」となります。

 

 

夫婦間の連帯債務割合の定め方

連帯債務契約の場合、夫が7割、妻が3割返済するというように、お互いに借入金の返済割合を定めておく事もあります。

 

ただし、返済割合は自由に決定するのではなく、その時のお互いの所得金額等に応じて合理的に定めるとされています。

 

 

連帯債務割合を定める場合の基本的な考え方

夫婦間で連帯債務割合を定める場合、持ち分に応じた借入金額と、連帯債務契約による借入金負担額が異なる場合があります。

 

例えば連帯債務割合を夫と妻で7:3とした場合、下記のようなイメージになります。

 

 

 

連帯債務割合を定めた場合のローン控除対象となる借入金

夫婦間で連帯債務割合を定めた場合、住宅ローン控除の対象となる借入金の金額が夫と妻でそれぞれ変化します。

 

 

 

夫は夫婦間の契約により、その負担金額を14,000,000円に定めました。

 

夫は持ち分に応じた借入金額が8,000,000円の所、夫は妻に代わって6,000,000円(14,000,000円-8,000,000円)を負担します。

 

ただし、夫の住宅ローン控除の対象となる借入金額は、持ち分に対応する8,000,000円です。

 

また、妻は持ち分応じた借入金額が12,000,000円の所、夫が6,000,000円負担してくれます。

 

そして実質的に妻が負担する借入金額は、6,000,000円(12,000,000円ー6,000,000円)になります。

 

よって、妻のローン控除の対象となる借入金額は、持ち分に対応する金額ではなく、実質的に負担する6,000,000円となります。

帯債務割合がある場合の贈与税の問題

持ち分に応じた借入金額と、連帯債務契約による借入金負担額が異なる場合、夫が妻に代わって負担する借入金が発生します。

 

この負担する金額は、夫から妻に対する贈与となります。

 

 

ただし、実際の贈与税の計算は、1年間で夫が妻に代わって返済した金額を合計して計算します。

 

あまりに多額でもない限り、あまり問題になる事はありません。

 

夫婦間で返済する金額を決める場合には、それぞれの所得に応じて取り決め、お互いに取り決めを記録しておきましょう。

根拠法令

租税特別措置法第41条

昭34.6.16直資58(共かせぎ夫婦の間における住宅資金等の贈与の取扱について)

まとめ

今回は、夫婦で共有持ち分で住宅を取得する場合の、連帯債務住宅ローンについて、ザックリ説明しました。

 

返済方法に対する基本的な考え方ですが、夫婦間で返済割合を定めた場合、贈与税の問題が発生する事があります。

 

あまり問題になる事はありませんが、基本的な考え方についてだけ、把握をしておきましょう。